ちっとも新しくない「新しい資本主義」

現在はアメリカで富裕税が議論され、国際的に法人税の税率引き上げが検討されている時代です。この流れがトレンドですから、分配に舵を切るのはちっとも新しくありません。ただ、これも良しとします。“新しい"はキャッチフレーズみたいなことかもしれませんし。

ひっかかるのは「新自由主義からの転換」です。これが、あやしい気がします。一例をあげます。小泉政権以降の日本が新自由主義だったとしても、それは海外ほど徹底したものではありませんでした。

そんな日本で正規社員と非正規社員の賃金格差が海外と比較して圧倒的に大きい。これはどういうことなのでしょうか。要は“新自由主義をとりあえずワルモノにしとくか"という安易な発想が見え隠れします。

新自由主義を代表する学者ミルトン・フリードマンに「負の所得税」という考え方があります。これは一種の給付付き税額控除であり分配施策です。つまり新自由主義が分配を否定しているわけではありません。

さらに、ひっかかるのは「中間層復活」です。そんなことが果たして可能なのでしょうか。まず前提として、日本の“一億総中流"を支えたのは栄光のモノづくりでした。

しかし、「カイゼン」や「すりあわせ」に代表される精緻な製造プロセスの優位性はなくなりつつあります。アップルの製造プロセスは、水平分業でほとんど台湾ですからね。この流れが“新しい資本主義"の気もします。