イオンのSDGs・ESG戦略のポイントを解説!
「環境(E)」と絡めて、イオンのような大規模な小売店の事業の持続可能性を考えた場合、「仕入れの柔軟さ」「温室効果ガスの削減」などが特に重要となってきます。仕入れの柔軟さとは、様々な環境の変化においても、仕入れを止めることなく安定して続けられる仕組みといえるでしょう。温室効果ガスの削減については、業務体制や取り扱う商品において二酸化炭素(CO2)を出さないための工夫を取り入れるということになります。
これらの点で、イオンはどのような取り組みを行っているのでしょうか。仕入れの柔軟さについては、「イオン持続可能な調達原則」という独自ルールのもと、以下の取り組みを実践しています。
- 自然資源の違法な取引・採取・漁獲を排除する
- 生物多様性保全、自然資源枯渇防止の観点でイオン基準を設定・運用する
- 再生不可能な資源の利用については最小限に留める
- 農産物や漁業資源の産地、漁獲方法などのトレーサビリティを確立する
- 林産物において保護価値の高い森林の破壊を防止する
また、農産物、畜産物、水産物、紙・パルプ・木材、パーム油といったように資源ごとに調達方針と目標を設定している点も、きめ細やかです。具体的な取り組みの例としては、天然まぐろ資源に依存しない完全養殖まぐろの販売を開始・強化するなどしています。
温室効果ガスの削減については、「店舗」「商品・物流」「お客さまとともに」の3つの視点で、省エネ・創エネの両面から温室効果ガスをゼロにする取り組みを進めています。とりわけ、脱炭素型住宅の新築・リフォームや電気自動車(EV)の購入といった脱炭素型ライフスタイルへの転換をサポートする商品や金融サービスは、消費者との距離感の近さという強みを生かしたイオンならではの大規模かつ効果的な取り組みといえるでしょう。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03