部長になる人、課長どまりの人の違いとは?

一番必要なのは「あれ」だった!?

まもなく4月。この時期、異動や昇格が発表されるという企業も多いと思います。先日、ある大手企業の部長とお会いした際、興味深いお話を伺うことができました。部長になる人、課長どまりの人では仕事の出来不出来だけではあらわせない違いがあるというのです。

会社経営を航海にたとえると、部長の役割とは?

――部長になれる人とはどのような人なのでしょうか。実際に部長を務める立場としていかがですか。

「部長になる人は『船の航海を助けられる人』ですね。航海とは『会社の経営』です。部長は船が間違った方向に進まないように、きちんと目的地に着くように、さまざまな場面・役割で、船長=社長を助ける立場だと思います」

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――では、課長どまりの人とは、どのような人ですか。

「一言で言うと『全体感』のない人でしょうか」

――「全体感」とは、視野が狭いということでしょうか? 先ほどの船の操縦でたとえると、船の行く先が見えないというか。

「そうですね、どちらかというと『見ない』ですね」

――見えない、ではなくて「見ない」?

「ええ。もちろん外的要因で視界不良になるときもありますよ。でも、そうではなくて、課長どまりの人は『見ようとしない』。プレーに没頭してしまう、とかですね。

部長になると、社長や役員に「おまえ部長だろ」と言われる機会が格段に増えるんです。訳すと『俺を助けろ』ということなんですけどね。だからマネジメントと同じ目線になれない人、つまり、全体感のない人だと厳しい」

――そもそも「部長だろ」って、そういう意味なんですか?(笑)

「そういう意味だと受け止めていますけどね」

部長は「過去の成功」を大切にする? しない?

――では「仕事で成果を出した、出さない」という点で違いはあるのですか?

「もちろん『仕事ができるか』は見られますよ。バランスよく企画を推進して成果を上げているか。会社だけではなく世のために働く気持ちがあるか。要は『こいつに預けて大丈夫?』というところですね。でも実際には、部長になると過去の栄光なんて、まったく意味がありません」

――と、おっしゃいますと?

「過去の栄光というより過去の成功体験と言うほうが正しいかもしれません。いつも同じパターンで成功できるとは限らないでしょう? 他の意見や方法を受け入れる柔軟性はとても大切なんです。業績や会社の将来にも影響しますから、選ぶ側も真剣に見極めるところです」

部長が「成果を出す」ためにすることとは?

――なるほど。コミュニケーション力やマネジメントスキルの面ではどうですか。

「自分の力で成果を上げるのは課長でもできますけれど、部長は『人を動かす』ことでいかに成果を上げられるかどうかじゃないですか。その意味で、部長は部下に嫌われたらダメ。部下に嫌われたら、仕事してもらえないですから」

――動く立場からすると指示があいまいな人や失敗の責任を部下やメンバーのせいにする人には部長になってほしくないかも(笑)。逆に全部一人でやってしまう人は「勝手にやって」と思ってしまいそうです。

「『責任は俺がとるから思い切りやれ』と任せて、相談があったとき適切にアドバイスするのが部長の仕事の基本。自分で考えて自主的に動く部下を育て上げられれば、そのなかからエースが登場するものです。

これに関連する要素として『許容範囲の広さ』も部長には求められます。ストライクゾーンが広いというか。我慢強さ、忍耐強さとも言えるかもしれない」

――具体的にはどういう場面で必要なのでしょうか?

「たとえば、部下の意見が自分の考えと一致しないとき。あるいは他部署やトップと意見が合わないとき。往々にして発生するこうした場面でどうするか。自分の考えに合うまでやり直しをさせるのも、強引に押し切ることも時と場合によっては必要ですが、常にそれでは自分も部下も周囲も疲弊してしまいます。

ですから『この範囲なら飲み込もう』というゾーンを持てない人は難しい。逆に何でも周囲に合わせてしまう人も厳しいですね。それなら誰でもできるわけですし」

意外? 部長になるために一番必要なものって「それ」!?

――これまでのお話に出てきたポイントが、部長になる人とならない人の違いなのですね。

「でもね、こんなことを言ってきたけど、本音を言えば、部長への昇格には運不運の要素が強いと思います。これは部長以上の役員とか、社長も含めて、上になればなるほどそう」

――えっ、結局のところは「運」ですか?

「全部とは言いませんけど(笑)。でも、ここまでくると実感せざるを得ません。まず、自分自身が適切な年齢のときにポストがあるかどうか。次に、昇格のテーブルにのれるかどうか。面接官、つまり社長や役員に好かれているかどうか。まあ、それを引き寄せるのも実力と言われればそれまでですが」

――部下だけじゃなく、上司に好かれることも重要なファクターになると。

「もちろん。嫌われたら上がれないんですよ、残念ながら。でも、好かれるかどうかは単純で『俺(上司)を助けてくれるかどうか』だと思いますよ。しつこいですが」

――しかも、部長として「助ける」というのは単純なサポートの意味ではなくて、事業を推進して成果を出すという意味ですものね。ちなみに社長や役員は自身の後継者候補として部長を選ぶことを意識しているのでしょうか。

「後継者? うーん、それは多分ない。別に後を継いでほしいなんて思っていないと思います。重要なのは『今、俺を助けてくれるかどうか』じゃないですか、やはり(笑)」

――それだと、うまく取り入る人もいそうですし、コロッと騙される役員さんもいるのでは…。

「さすがにわざとらしいゴマスリは見透かされますよ。でも確かに『あれ?』と思う部長もいますけどね。これ以上は言えませんが(笑)」

――最後に、これから部長を目指す人に何かアドバイスはありますか?

「どうせ部長になるなら『かっこいい部長』になりたいじゃないですか。そのためにも、自分への投資は惜しみなく続けてほしいと思います。投資というのは、自らを成長させるための投資。英語の勉強でもいいし、投資の勉強とか、本を読むとか、成長すると思えば何でもいいです。幅広い見識を身につけると人生そのものにも役立ちますよ」

――今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。