てるみくらぶ騒動に学ぶ、大切なお金の守り方

「安物買いの銭失い」を避けるのも資産運用

てるみくらぶ騒動

格安海外パッケージツアー大手のてるみくらぶの破産騒動が話題になっています。

「システムのトラブルで航空券が発券できなくなっている」という報道がされてから1週間もしないうちに、てるみくらぶは破産してしまいました。東京商工リサーチによると、負債総額は約151億円で、旅行業界では過去4番目の大型倒産とのことです。

てるみくらぶのツアー中に、ホテルに宿泊できなくなったり、帰りの航空券を自分で買い求めなくてはならなくなったりするなどの影響を受けているのは8~9万人(件数では3.6万件)だそうです。また、これから出発する予定で、お金を既に支払ってしまった人も、支払い額の1%しか戻ってこないのではないかと言われています。

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なぜこんなことになったのか?

破産手続き後の会社側の会見内容を読むと、今回の経営破綻に至った要因として、ビジネスモデルの行き詰まりがあるようです。

1998年の設立以降、てるみくらぶは飛行機の余った座席を大量に安く買い取り、ホテルと組み合わせて「ダイナミックパッケージ」と呼ばれる旅行商品に仕立てて販売するビジネスモデルで拡大してきました。

ところが、リーマンショック後の航空機の小型化や海外からの訪日客の増加で、安い仕入れが難しくなってしまいました。また、航空券やホテルを直接予約するユーザーが増えたために、メインターゲットを従来の若年層からシニア層に移行している最中でした。

ネットをあまり見ないシニア層にアプローチすべく、新聞広告を用いた集客を増やしたことで、広告宣伝費の負担が重くのしかかり、財務状況が急速に悪化していったようです。

てるみくらぶ騒動から消費者が学ぶべき3つのこと

この記事が公開される時点でも、海外で心細く滞在されている方もいらっしゃると思います。また、既に旅行に申し込んでしまった方の怒りや嘆きも多く報道されています。まだ現在進行形の話ですが、てるみくらぶ破綻の影響を受けてしまった方にはお見舞いを申し上げた上で、今回の件から何か学べることはないかと考えてみました。

1. トラブルが起きそうなジャンルではないかを確認する

トラブルが起きそうなジャンルには、それなりの傾向がありそうです。旅行業界そのものには、特段トラブルが多いという印象はないのですが、独立行政法人国民生活センターによると、インターネットで予約した旅行に関するトラブルが、2010年度から2015年度の5年間で2倍になっているとのことで注意喚起が出されています。

旅行業界以外でも、注意喚起が出されることがあるので、高額の商品・サービスや、長い期間支払い続ける必要があるものを購入する場合は、消費者庁のウェブサイト独立行政法人国民センターのウェブサイトで確認してから行うのが賢明です。

2. 支払いを急がせる仕組みには注意する

てるみくらぶでは、破綻の直前まで、全額を現金で支払うと1%値引きするという「現金一括キャンペーン」を行っていたと言われています。

事業者としては、「入金はできるだけ早く、出金はできるだけ遅く」が基本ですが、入出金のバランスが悪くなると、資金繰りがきつくなっていきます。きつくなってくると、なるべく入金を早めようとするので、値引きをしてでも「現金支払い」とか「一括払い」を促すことが多くなります。

そのため、支払いを急がせる仕組みがある場合(特に最近になって開始した場合)は、気に留めておくと良いでしょう。

3. どうして安いのか考えを巡らせてみる

直感的に、「どうしてこの価格でやっていけるのか」と思うことがありますが、その直感は大切にしたいものです。そのような時は、ちょっと立ち止まってみてください。

安いものには安いなりの理由があります。その仕組みはなかなか分かりづらいですが、その理由について考えを巡らせてみる価値はあります。考えるにあたってのポイントは、「自分が何に対してお金を払っているのか、または、払っていないのか」と、「安さを実現するために何が省かれているのか」という2点です。

「安物買いの銭失い」を避けるのも資産運用

資産運用を考える時は、とかく増やすことばかりに目が向きがちです。しかし、お金を減らさない、または、トラブルに巻き込まれることで経済的な損失を被らないようにすることも、立派な資産運用です。

昔から、「安物買いの銭失い」と言います。今回の騒動から、「安物買いの銭失い」とならないよう、高額な商品・サービスの購入や申し込みの際の教訓が少しでも得られるようにしたいものです。

藤野 敬太

ニュースレター

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藤野 敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。日本ファミリービジネスアドバイザー協会執行役員・フェロー