3. 日本電産の今後の事業のポイントとは
「今後の株価推移を考えるには、売上・営業利益・営業利益率の動向に注目だ」というと浅いので、もう少し鮮明・立体的にイメージできるよう、セグメントレベルまで掘り下げてみます。
3.1 直近のセグメント別の動向と今後の全体観
まず、日本電産の2022年3月期の業績の前年比増減分析を見てみましょう。
売上は家電・商業・産業用セグメントが大きく貢献しました。
営業利益については、家電・商業・産業用セグメントと機器装置セグメントが貢献し、一方で精密小型モータセグメントの減益が重しとなりました。
簡単にまとめると、家電・商業・産業用セグメントと機器装置セグメントが良く、精密小型モータセグメントが悪かったということになります。
こうした状況下、日本電産は新中期戦略目標の骨子「事業ポートフォリオマネジメント」の中で、「車載セグメントと家電・商業・産業用セグメントを大幅に伸ばし、精密小型モータセグメントもそれなりに伸ばす」という方針を掲げています。
以下、日本電産が特に注力する車載セグメントと家電・商業・産業用セグメントの成長戦略と注目点を解説します。
3.2 車載セグメントの成長戦略
日本電車は車載セグメントについて、以下を今後のポイントとして挙げています。
- 欧州の環境規制を追い風とした、EVトラクション関連の売上増
- 中国での、EVトラクション関連の大口顧客増
- 車載モータ関連の、市場の回復
- 車載モータ関連の、原価率の改善
欧州や中国での業績動向や、原価率の改善が今後の注目点ということになります。
3.3 家電・商業・産業用セグメントの成長戦略
日本電車は家電・商業・産業用セグメントについて、以下を今後のポイントとして挙げています。
- 欧州域外での市場シェア増
- インドなどのアジア市場の拡大
- 原価率の改善
欧州域外やアジア市場での事業動向と、原価率の改善が今後の注目点ということになります。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03