「ロシアゲート」の緊張感は和らぐが、日経平均は円高の影響で伸び悩む

2017年5月19日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より126円29銭安の19,686円84銭となりました。

先週は米トランプ政権の「ロシアゲート」疑惑の影響を受け、米国株を中心に世界の株式は大きく下げました。ただし、週末にはその緊張も和らぎ、ダウ工業株30種平均も値を戻しました。さらに、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めが緩やかなペースにとどまるとの観測もあって、今週は週初から戻りを試す展開となりました。

25日まで、米株式市場でダウ工業株30種平均は6日続伸し、3月1日に付けた過去最高値に迫りました。S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数は25日、ともに最高値を更新しています。

米国のみならず世界の株式が好調な一方で、日経平均は2万円を前に足踏みをしています。要因はやはり円高です。22日には英中部マンチェスターで自爆テロ事件が起きました。「低リスク通貨」とされる円が買われ、一時、1ドル=110円台後半まで円高が進みました。26日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は1ドル=111円30~40銭で取引を終えており、円高傾向は続いています。

今後の展開はどうなるでしょうか。まず為替相場は、先行きがなかなか読みづらいところです。米株高が続いていることから、ドルが買われ円が売られてもいいところですが、「米経済の実態を反映しておらず、買われすぎ」との警戒感もあります。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースも、6月は織り込み済みながら、その後は利上げを急がないという見方をする人が多いようです。

日本の株式市場は決算発表シーズンが一段落し、材料が乏しいところです。22日には東京証券取引所1部の売買代金が1兆9224億円にとどまり、活況の目安とされる2兆円を約1カ月ぶりに割り込みました。6月13~14日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。しばらくは様子を見極めることになりそうです。

先週下落分の窓を埋める力強さを感じさせる

今週は米国の「ロシアゲート」の影響などから大きく窓を空けて下げました。18日には一時、19,449円となり、19,500円も割り込みました。

ただし、今週になると反発し、その窓をすべて埋めてしまいました。週末には若干、5日移動平均線を下回りましたが、ほぼ5日移動平均線にサポートされるような形で上昇しました。

25日・75日移動平均線のゴールデンクロスが形成され目線は上へ

今後の動きはどうなるでしょうか。チャートの形は、先週の下落分の窓を一気に埋めるなど、力強さを感じさせます。

19,500円~19,600円あたりは昨年末からもみ合い、かなり積み上がっています。このあたりが窓の下限でした。一般的に下げ相場では、大きく窓を空けた後、若干戻ったとしても窓を埋めきれずにさらに下がっていきます。22日、23日には英自爆テロ事件などの影響もあって陰線が続き、それが懸念されましたが、ローソク足の実体は短く、24日には逆に窓を空けて上昇しました。

25日移動平均線が75日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが形成されていることに加え、いずれの移動平均線も傾きが上向きです。直近の目線は上に持っていいと思われます。

来週初、5日移動平均線と重なる19,700円あたりでサポートされるようであれば、付いていき、大台の2万円、さらにその上を狙っていいでしょう。

もちろん、2万円で再度上値を抑えられることも考えられます。その場合、ダブルトップの形になってしまいますが直ちに売りサインになるとは考えづらいところです。しばらくは、19,600円~20,000円の間でもみ合うことになるのではないでしょうか。

下原 一晃