FX会社選びのために、FX業界の歴史を理解しておこう

FXを始めるにあたってまず決めなければならないのが、どこのFX業者(FX会社)で取引をするか、すなわちFX会社選びです。ネットでは、さまざまな会社が口座開設をするようにアピールしています。どこを選べばいいのでしょうか。ここでは、日本にFX会社が誕生した経緯も含めて、FX会社の違いや特長を説明します。また、FX会社選びのポイントなどについても紹介します。ぜひ、参考にしてください。

目次

1 1998年の外為法の改正により、個人や企業が自由に取引を行えるように
2 商品先物取引会社が日本初のFX取引サービスを開始
3 FX取引市場には当初、商品先物取引会社が中心となって参入
4  規制がなかったことから、悪質な業者が登場し問題に
5 金融庁が監督官庁となり「改正金融先物取引法」が施行される
6 世界初の取引所FX「くりっく365」の誕生
7 前例のない画期的な仕組みや制度が採用された「くりっく365」
8 大阪証券取引所も取引所FXを開設するが5年で休止
9 レバレッジ規制などが強化され、FX業界の再編が進む
10 FX会社にはさまざまな業種がある。関心のある投資商品で選びたい
11 けっきょくは使い勝手のよさ? FX会社の選び方
12 まとめ

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1 1998年の外為法の改正により、個人や企業が自由に取引を行えるように

FX会社が誕生したのはいつか知っていますか?答えは1998年です。

外国為替および外国貿易管理法(外為法)は1949年に制定されました。外為法では、外国との外為取引(通貨の両替など)が原則として禁止されていました。

外為法は1980年に改正され、対外取引が原則自由化されました。ただし、実際には外国為替公認銀行(為銀)を通じた取引を自由化しただけで、それ以外の取引には許可や届け出が必要でした。

外為法は1998年4月にさらに改正が行われました。当時の橋本龍太郎首相による金融ビッグバンの一環により、外為取引にあたって、為銀などを通じなくても許可や届け出が不要になりました。つまり、これまで外国為替業務は為銀や指定証券会社、ホテルの両替商など許可された者に限られていましたが、誰でも自由に行えるようになったのです。

ちなみに、このときの改正で、外国為替および外国貿易管理法は、外国為替および外国貿易法となり、法律の名前から「管理」の文字がなくなりました(「新外為法」と呼ばれることもあります)。まさに自由化ということでしょう。

2 商品先物取引会社が日本初のFX取引サービスを開始

外為法の改正は、FX取引市場を生み出すために行われたわけではありません。当初は、両替などの手数料の自由化、海外預金の自由化、企業の外貨による資金調達、海外の証券などへの投資、ネッティング(外貨での相殺決済)などが期待されていました。「コンビニの店頭で外貨への両替ができるようになる」といったこともよく言われました。ただし、その後参入しているコンビニはないようです。

外為法の改正の際には、「FX」や「外国為替証拠金取引」などのキーワードを聞くことはほとんどありませんでした。ではなぜ、同法の改正により、日本にFX市場が誕生したのでしょうか。

当時、海外にはすでに外国為替証拠金取引、すなわち個人投資家が少ない証拠金で為替取引ができるサービスが誕生していました。国内でこのサービスを始めようとした会社があります。商品先物取引会社のダイワフューチャーズ(現・ひまわり証券)です。1988年10月に国内初の外国為替証拠金取引「マージンFX(現:ひまわりFX)」を開始しました。「マージン」とは証拠金のことです。

ちなみに「FX」は「Foreign eXchange(外国為替)」の略です。英語では「FX」のほか「FOREX」などと略される場合もあります。本来の「FX」は「外国為替」という意味なので、英語では「foreign exchange bill(外国為替手形)」などのように使われます。「FX取引」は「Forex Trading」です。日本ではFXが「外国為替の取引」そのもの、特に「外国為替証拠金取引」を指すことが多くなっています。

3 FX取引市場には当初、商品先物取引会社が中心となって参入

矢野経済研究所の調査によれば、外為法が改正された1998年にはすでに、商品先物取引会社を中心に4社が参入していたとされます。その後、商品先物取引会社を中心に、証券会社が参入、さらに外為取引専業会社が設立され、2000年までに41社の参入があったとしています。

ところで、FX取引市場になぜ、商品先物取引会社が参入したのでしょうか。実は、FXと商品先物取引はよく似ているからです。FX取引は差金決済取引で、現物の受渡しをしません。反対売買による差額の分だけを授受して決済を行います。

おおざっぱに言えば、FX取引とは、「米ドルを買います」「売ります」という「約束」を売買するようなものです。「約束」を売買するのであれば、1万ドルを購入するために、1万ドル分の資金は必要ありません。売買の差額の分だけあればいいのです。見方を変えれば、差額の部分さえ払う余力があるなら、いくらでも大きな取引をしていいということになります。このため、差金決済取引(FXも差金決済取引の一種です)では、ある程度の証拠金だけで大きな取引ができます。これをレバレッジと言います。

国税庁では「外国為替証拠金取引(FX)とは、外国為替(外国通貨)の売買を、一定の証拠金(保証金)を担保にして、その証拠金の何十倍もの取引単位(金額)で行う取引をいいます」と定義しています。取引による差益が生じた場合の所得は「先物取引に係る雑所得等」と、FXも商品先物取引も同じ分類になっています。

規制がなかったことから、悪質な業者が登場し問題に

日本にFX取引サービスが始まったころ、FX会社を取り締まる監督官庁や法律もなかったと言ったら驚くかもしれません。このため、どんな会社でもFX取引市場に参入し、サービスを始めることができました。

まだオンライン取引が普及する前で、FX会社は投資家に電話をしたり訪問して勧誘したりする対面型の営業をするところがほとんどでした。そして、これらの一部には悪質な業者も見られるようになります。たとえば、「必ず儲かる」「円高(円安)になる」などの断定的判断を提供して強引な勧誘をするケースもありました。

また、今では義務化されている、顧客から預かった証拠金を取引業者の固有財産と区分して管理する「信託保全」のルールもありませんでした。このため、顧客から預かった証拠金を使って自社で取引をして大きな損失を出したり、経営者の私的な目的に流用したりするような業者も出てきました。

当時は、規制がないことから参入業者の数もはっきりとしません。数百社あったとも言われています。2000年から2005年あたりにかけて、国民生活センターをはじめ各地の消費生活センターには「強引な勧誘を受けてお金を預けたが、元金の大半を失った」「証拠金を出金してくれないまま業者と連絡がつかなくなった」といった相談が急増しました。

5 金融庁が監督官庁となり「改正金融先物取引法」が施行される

トラブルが相次いだことから、2003年には国民生活センターがホームページに注意喚起情報を掲載しています。全国の弁護士会や消費者団体などからも、FX取引を取り扱う業者に対し、金融・証券先物取引に関するルールに倣ったルールに基づいて、行政による監督がなされるよう求める意見書や要望書が示されました。

世論に押される形で、金融庁は2003年に、顧客勧誘方針の策定と公表、リスク説明、反対売買の速やかな履行などを定めた「証券会社に関する事務ガイドラインの改正」を行いました。しかし、あくまでも自らが監督する証券会社の範囲のみであり、監督官庁のない新規参入業者に対しては効果がありませんでした。

「監督官庁がなく、どれだけのFX業者がいるのか、正式な数もわからない」という、いわば無法状態の中、金融庁は2005年、ようやくFX会社の本格的な規制に乗り出します。7月に施行された「改正金融先物取引法」です。

同法では、一般顧客を相手方として行う店頭金融先物取引またはその媒介などを「金融先物取引業」の定義に含め、取引などを取扱う業者を「金融先物取引業者」として規制の対象としました。登録制としただけでなく、自己資本規制比率、外務員登録などのハードルが設けられたことで、基盤のしっかりしていない業者は排除されることになります。

さらに、大きなポイントは「不招請勧誘の禁止」が明示されたことです。FX会社が、勧誘の要請をしていない一般顧客に対して訪問または電話による勧誘をすることなどが禁止されました。これにより、対面営業で強引な勧誘を行っていた悪質なFX会社は退場せざるを得なくなりました。

6 世界初の取引所FX「くりっく365」の誕生

2005年7月に施行された改正金融先物取引法により、一部の悪質なFX会社は排除され、業界の健全性が進みました。それと同じ月の2005年7月に誕生したのが、「くりっく365」です。

「くりっく365」は、金融デリバティブ商品(株式・金利・為替など)を提供、運営している東京金融取引所に上場している商品です。同取引所では、為替分野以外にも、ユーロ円3カ月金利先物などの金利分野、日経225証拠金取引、NYダウ証拠金取引などの株式分野の商品の取引ができます。

株式市場には、東京証券取引所のような取引所があります。ところが、FXにはこのような取引所はありませんでした。では、価格(交換レート)は誰が決めるのでしょうか。答えは、FX会社です。取引は、FX会社と個人投資家との相対(あいたい)取引になります。相対取引とはその名のとおり、FX会社と投資家が直接取引をすることです。店頭取引とも言います。

FXが相対取引であることが、前述したように、一部の悪質なFX会社によって勧誘行為や証拠金の扱いに関するトラブルが頻発した理由の一つとも言えます。そこで、安心して取引に参加できるFX市場を作るために、世界初のFXの取引所取引が誕生しました。

7 前例のない画期的な仕組みや制度が採用された「くりっく365」

「くりっく365」は、世界初のFXの取引所取引というだけでなく、業界の先駆けとなる画期的な仕組みや制度が採用されていました。まず、証拠金の保全です。「くりっく365」の取扱会社(FX会社)は、法令により、投資家から預かった証拠金の全額を東京金融取引所(金融取)に預託することが義務付けられています。預託された証拠金は全額金融取が保管しており、取扱会社が万一破綻したような場合でも、証拠金は原則として、保全される仕組みになっています。

さらに、「くりっく365」を取り扱うことができるのは法令などの基準に加え、金融取の規則に基づく厳格な資格要件を満たした会社だけです。信頼度が高いと言えます。

価格(レート)の透明性にも特色があります。「くりっく365」は、外国為替市場における複数の主要金融機関(マーケットメイカー)から価格の提供を受け、この中から、その時点において最も有利となる価格をシステムで自動的に合成し、そのままの価格を取扱会社を通じて投資家に提示しています。「くりっく365」に参加しているFX会社であれば、どのFX会社でもレートは同じです。さらに、FX会社に有利になるように恣意的にレートを動かすといったことやスリッページ(注文価格と約定価格のずれ)が生じないようになっています。

さらに、「くりっく365」の最大の特色は税制です。個人投資家の場合、相対取引(店頭取引)では、FXの所得は雑所得として給与所得などと合算し総合課税されます。所得税と住民税を合わせた最高税率は50%です(当時)。それに対して、「くりっく365」では、株式などのように申告分離課税の対象となり、税率は所得にかかわらず一律20%になります。このほか、他の取引所上場先物取引との損益通算や、3年間の損失繰越控除が可能であるなど、「くりっく365」ならではの優遇措置が用意されていました。

8 大阪証券取引所も取引所FXを開設するが5年で休止

税制の優遇措置などの魅力もあって「くりっく365」は開設以来、口座数、預かり資産を急速に伸ばしました。

2009年7月には大阪証券取引所(現・大阪取引所)が「くりっく365」に次いで日本で2番目となるFXの取引所取引「大証FX」をスタートさせました。株式取引に似た「板」情報で買い気配や売り気配を見ることができるなど、独自の仕組みも注目されました。

ただ、「くりっく365」のレバレッジが100倍(当時)だったのに比べ、大証FXは30倍と小さかったことなどもあって、なかなか口座数を伸ばすことができませんでした。けっきょく、5年後の2014年10月に「大証FX」はサービスを休止しました。

取引所FXの第1号である「くりっく365」も苦戦しています。最大の理由は2012年1月から適用された税制改正です。前述したように、それまで「くりっく365」や「大証FX」のような取引所取引では申告分離課税が認められていましたが、相対取引(店頭取引)においては総合課税が適用されていました。ところが、2012年1月以降は、相対取引(店頭取引)においても、申告分離課税が適用され、税率は一律20%となったのです。さらに、損失の3年間の繰り越し、取引所先物取引などとの損益の通算も可能になりました。

相対取引(店頭取引)では売買手数料が無料というFX会社がほとんどです。取引所取引だけの優遇措置がなくなると、わざわざ手数料が有料である取引所で取引をする意味が薄れます。「くりっく365」では2013年から手数料の引き下げ(一部の取り扱い会社では無料)とする施策を打ち出していますが、なかなか差別化が難しくなっています。

9 レバレッジ規制などが強化され、FX業界の再編が進む

2009年8月、FX業界を大きく揺るがす出来事が起きました。「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」、いわゆるレバレッジ規制です。

それまで、FX取引のレバレッジには規制はありませんでした。このため、FX会社の中には500倍もの取引サービスを提供しているところもありましたが、投機性が高いとされ、これを抑えるために規制が行われたのです。個人投資家がFX取引を行う場合は、2010年8月より最大50倍、2011年8月より最大25倍に規制されることになりました(法人は規制の対象外)。

また、2010年2月には、FX会社が顧客から預かった証拠金の管理方法が、信託銀行などへの金銭信託に一本化されました(区分管理信託に関する規制)。また、取引開始時のレバレッジだけでなく、一定の相場水準で強制的にロスカットさせる仕組みも導入されました(ロスカット・ルールに関する規制)。

レバレッジ規制により、それまで「高レバレッジ」を売りにしていた中小のFX会社は独自性を発揮できなくなりました。売買手数料の無料化やスプレッド競争が激化していることから、体力のない中小のFX会社は撤退せざるを得なくなります。

多くのFX会社が廃業したり、事業を譲渡したりしました。競争が激化しているのは大手FX会社も同様で、大手証券会社によるFX事業を切り離しや、FX会社同士のM&A(合併・買収)も数多く行われました。レバレッジ規制はFX業界の再編を一気に進めることになりました。

10 FX会社にはさまざまな業種がある。関心のある投資商品で選びたい

FXの業界団体である一般社団法人金融先物取引業協会によると、FXの取引サービスを提供している会社は約60社となっています。2008年のピーク時に比べて半分程度に減っています。ただし、レバレッジ規制後も口座数や取引高は堅調に伸びています。

業界の再編が進み、FX会社などのプレーヤーも成熟してきたと言えそうです。区分管理信託に関する規制なども強化されており、かつてのように顧客から預かった資金をFX会社が流用するといったこともできなくなっています。

業界の健全性が高まっている一方で、「FX会社はどこも同じ」と感じる人もいるでしょう。実際に見ていきましょう。まずFX会社と一口に言っても、業種が異なります。現在もっとも多いのが証券会社、次にFX専門会社、さらに商品先物会社となっています。

ネット銀行でもFX取引のサービスを提供しています。ジャパンネット銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行、じぶん銀行、新生銀行などです。ちなみに、ジャパンネット銀行は、2006年3月に銀行として初めてFX業務の取り扱いを開始しています。

銀行、証券会社、FX専門会社、商品先物会社では、どこで始めるのがいいのでしょうか。判断基準は、あなたがどのような投資をするかです。FXだけでなく、株式投資をしたいという人であれば証券会社のほうが便利でしょう。金や原油などのコモディティ(商品)に投資をしたいという人なら、FXと商品を両方取り扱っている証券会社や商品先物会社で取引をすれば損益の通算などの計算も簡単にできます。

一方で、FX専門会社には取引ツールやシステムトレードに力を入れるなど、専業ならではのよさがあります。あなたが関心のある投資商品や投資スタイルに応じて選ぶといいでしょう。

11 けっきょくは使い勝手のよさ? FX会社の選び方

今では、国内のFX会社のレバレッジは同じ、売買手数料も無料のところがほとんどです。コスト面で言えば、違いはスプレッド(売値と買値の差)ぐらいしかありません。

「業界最狭水準のスプレッド」などを売りにしているFX会社もあります。もちろん、スプレッドは狭いほうがいいことは間違いありませんが、米ドル/円を1万ドル取引する場合、スプレッド0.3銭ならコストは30円、0.4銭なら40円です。その差10円で収益がどれほど変わるかは疑問です。さらに、仮に、もっとも狭いときのスプレッドが0.3銭でも、市場の動向によりすぐにスプレッドが広がってしまうようなところでは意味がありません。

あなたが特定の通貨の取引をしたり特定のシステムツールを使ったりしたいということであれば、それが利用できるFX会社を利用することになります。ただし定評あるツールでも、投資家によっては「背景の色や文字の大きさなどを変えたいができない」といったことがストレスになる場合もあります。このあたりの使い勝手は、実際に口座を開設し取引してみないとわからないものです。デモトレードを利用したり、複数の口座を開設したりして比較してみるのも一つの方法です。

12 まとめ

1998年に、日本に個人投資家向けのFX取引サービスが誕生して以来、FX業界やFX会社は大きく変貌を遂げてきました。黎明(れいめい)期には一部の悪質な業者も存在しましたが、規制の強化などに伴いそれらは淘汰され、健全性が高まっています。ツールの機能や情報提供、サポートなどの品質も向上しています。

それだけに、どこのFX会社を選ぶかが難しくなっていますが、あなたの投資スタイルなどに応じて、使い勝手のよい、長くつきあえるFX会社を選択してほしいと願っています。

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投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。