FXの「スワップポイント」って何?夢の金利生活は可能?

FX(外国為替証拠金取引)の特色の一つはスワップポイント(スワップ金利)があることです。FXは、異なる国の通貨を交換する(swapする)取引です。金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売ることで、その差額分の金利を受けとることができます。その利率は、銀行の預金金利などと比べればはるかに有利です。一方で、FXには為替レートの変動リスクがあります。そこで、スワップポイントの仕組みや活用法を以下にまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

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目次

1 高金利の通貨と低金利の通貨の差額が「スワップポイント」になる
2 FXは差金決済取引で、決済日が決まっている
3 ロールオーバーするごとに毎日、スワップポイントが付与される
4 木曜日には土日の分も含めてまとめてスワップポイントが付与される
5 スワップポイントは受け取るだけでなく支払うこともある
6 FX会社によってスワップポイントは異なる
7  スワップポイントを利用した「金利生活」は実現するのか
  7.1 スワップポイントは銀行の預金金利に比べてはるかに有利
  7.2 豪ドル/円のスワップポイントが160円/日になった時代も!
  7.3 スワップポイントで生活するために、安全なレバレッジは
  7.4 政策金利の低下に伴うスワップポイントの縮小も大きなリスク
  7.5 長期的なリスクが見えにくく、スワップ金利生活は難しい
8 まとめ

1 高金利の通貨と低金利の通貨の差額が「スワップポイント」になる

スワップポイント(スワップ金利)のスワップ(swap)には「交換する」という意味があります。外国為替取引では米ドルを「買う」「売る」などと表現しますが、実際には、米ドルと円を交換しています。

スワップポイントは、銀行預金などと同様に、通貨を保有するだけで金利を受けとることができます。具体的には、金利の高い通貨を買って、金利の低い通貨を売ると、その差額を受けとることができます。たとえば、米国の金利が3%、日本の金利が1%の場合、円を売って米ドルを買うと、その差額である2%分の金利を受けとることができます(※実際のスワップポイントは、各国の金利をそのまま反映するわけではありません)。

ただし、逆に高い金利の通貨を売って低い金利の通貨を買うと、その差額分を支払わなければなりません。米国の金利が3%、日本の金利が1%という同じ条件でも、米ドルを売って円を買う場合には、2%分の金利を支払うことになります。

ちなみに、金利スワップは、金利を対象とするデリバティブ(金融派生商品)取引の一つで、FXだけでなく、さまざまな通貨の金利を交換する取引が行われています。外国の通貨だけでなく、日本円同士で異なる金利(固定金利と変動金利など)を取引する場合もあります。円金利同士を交換するスワップを「円-円スワップ(えんえんスワップ)」と呼びます。金融機関や企業などが、金利変動リスクのヘッジとして、一般的に利用しています。

2 FXは差金決済取引で、決済日が決まっている

スワップポイントはいつ、どのように付与されるのでしょうか。それを理解するためには「ロールオーバー」の仕組みを知っておく必要があります。

まずFXは、株価指数先物取引や商品先物取引などと同様に、現物の受渡しをせずに反対売買による差額の授受で決済を行うCFD(差金決済取引)です。CFDはいわば、商品を売ったり買ったりする「約束」や「権利」を売買するようなものです。

CFD取引では、商品ごとに決済日があります。たとえば商品先物取引の場合、1か月先~最長1年先の限月(げんげつ)と呼ばれる決済期限があります。決済限月の最終取引日を「納会」(のうかい)と呼びます。納会日には、その時点のポジションに利益が出ていようが、損失になっていようが、すべてのポジションが決済されます。

商品によっては、差金決済せず、現物の購入代金を用意し現物を買い取ったり、事前に用意した現物を引き渡したりすることにより取引を終了することもできます。現物を買い取ることを「現受け(げんうけ)」、現物を引き渡して現金化することを「現渡し(げんわたし)」と言います。

FX取引では、約定が成立した日から2営業日後が取引金額の決済日と定められています(※国内外の祝祭日などにより通常と異なる場合もあります)。日本のFX会社の中には、通貨の種類などによっては現受けができるところもありますが、一般的には反対売買をして決済をすることがほとんどです。ただし、商品先物取引では、納会日になると強制的に決済されますが、FXの場合は、決済をせず、そのままポジションを引き継ぎます。これを「ロールオーバー」と言います。

3 ロールオーバーするごとに毎日、スワップポイントが付与される

商品先物取引にも「ロールオーバー」という言葉があります。商品先物取引では一般的に、期限になったポジションを決済(手じまい)し、新たなポジションを建てることを「ロールオーバー」と言います。一方、FXでは、期限が来ても、投資家が決済しない限り、このポジションは決済されず、先送りされます。

ロールオーバーが行われる時間はFX会社によって異なりますが、一般的には、ニューヨーク市場がクローズする米国東部時間17時ごろ(日本では夏時間午前6時ごろ、冬時間午前7時ごろ)を1日の区切りとして、ここを越えるとロールオーバーとして、翌営業日に繰り越します。

なお、FX会社によっては、この時間前後に毎日、数分~数十分のメンテナンス時間を設けているところがあります。このようなFX会社では、このメンテナンス時間が明けるとロールオーバーされるところが多いようです。

ほとんどのFX会社では、発生したスワップポイントは、ロールオーバーを行った際に付与されます。ロールオーバーが行われない間にエントリーから決済まで行った決済、いわゆるデイトレードではスワップポイントは付与されません。

4 木曜日には土日の分も含めてまとめてスワップポイントが付与される

スワップポイントはロールオーバーが行われた際に付与されると説明しましたが、ポジションを建てた翌日からスワップポイントが付与されるわけではありません。前述したように、FX取引では、約定が成立した日から2営業日後が取引金額の決済日と定められています。このため、スワップポイントについても、取引日の2営業日後が受渡日になります。

ただし、受渡日が日本や海外の市場休業日の場合は、スワップポイントが付与されない場合があります。たとえば、土日にはスワップポイントは付与されません。この土日分のスワップポイントは、水曜日から木曜日のロールオーバーの際に2日分まとめて付与されます。つまり、土日を挟んでポジションを持っていれば、その分のスワップポイントも受けとることができます。

FX会社の中には、通貨ごとにスワップポイントの付与日数や金額を示した「スワップカレンダー」を用意しているところもありますので、チェックしてみてください。

5 スワップポイントは受け取るだけでなく支払うこともある

ここまで、スワップポイントを受け取る場合を中心に説明してきました。一方で、スワップポイントを支払う場合もあります。

さらに、「『買い』ポジションならスワップポイントを受け取り、『売り』ポジションならスワップポイントを支払う」と考えている人が多いかもしれませんが、そうとも限りません。「買い」ポジションでも、スワップポイントを支払う場合があるので注意が必要です。

そもそもスワップポイントとは、金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売ることで、その差額分の金利を受けとることができるという仕組みです。たとえば、米ドルと日本円であれば、米ドルのほうが金利が高いので、米ドルを買って円を売ると、スワップポイントを受け取ることができます。逆に、米ドルを売って円を買うと、スワップポイントを支払わなければなりません。

ところが、ユーロとドルの場合は、ユーロのほうが米ドルよりも金利が低いため、ユーロを買ってドルを売る「買い」でスワップポイントを支払わなければなりません。逆に、ユーロ/ドルを「売る」とスワップポイントを受け取ることができます。

このほか、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル、ユーロ/オーストラリアドル(以下、豪ドル)なども「買い」で、スワップポイントを支払わなければなりません。

日本円は世界の通貨の中でも金利が低いほうです。このため、日本円とのペアでは、ほとんどの場合「買いスワップ」がプラス、「売りスワップ」がマイナスになります。ところが、日本円よりもまだ金利が低い通貨があります。マイナス金利政策を導入しているユーロ圏、スイス、スウェーデンなどの通貨です。このため、ユーロ/円、スイスフラン/円、スウェーデンクローナ/円などの通貨ペアは、「買いスワップ」がマイナス、「売りスワップ」がプラスになります。

※上記は2017年7月現在。スワップポイントは政策金利などに応じて変動します。

6 FX会社によってスワップポイントは異なる

スワップポイントについて、ほかにも注意しておくべき点があります。それは、FX会社によってスワップポイントが異なることです。

そもそもスワップポイントは誰が付与しているのでしょうか。答えはインターバンク市場の金融機関やFX会社です。前述したように、金利スワップは、金利を対象とするデリバティブ(金融派生商品)取引の一つで、FXだけでなく、さまざまな通貨の金利を交換する取引が日常的に行われています。

金利スワップは、取引所を通さず、当事者間で直接取引をする店頭取引(相対取引)で行います。金利を交換する期間や条件などは、当事者間で取り決めます。このようなことから、以下のような特徴があります。

スワップポイントは毎日変動する

スワップポイントは、2つの通貨の金利の差で決まります。このため、どちらか(あるいは両方)の通貨の金利が変動するのに応じて、スワップポイントも変動します。また、外国通貨同士のスワップポイントは、さらに円換算されるため、その際の円相場によってもスワップポイントが変動します。

ただし、スワップポイントは各国の政策金利のみで決定されるわけではありません。インターバンク市場の金融機関やFX会社のコストなども考慮して決められます。

スワップポイントはFX会社によって大きく異なる

スプレッド(レートの買値と売値の差)は、FX会社同士の競争が激しく、米ドル/円の場合、1銭以下(1万通貨の場合、10円単位)でしのぎを削っています。ところが、スワップポイントは、FX会社によって差が大きくなっています。

たとえば、南アフリカランド/円の場合、FX会社によって、1日50円~180円までの開きがあります。他の通貨も、FX会社によって2倍~3倍の差があることも珍しくありません。

デイトレードなど短期トレードが中心の人ならあまり気にならないでしょうが、ポジションを数か月も持ち続けるような人は、チェックしておくといいでしょう。FX会社では通貨ごとのスワップポイントのほか、付与される額や日などをサイトに公開しています。このほか、FX会社によっては、銀行の定期預金などのように、「スワップポイント○倍優遇月間」などのキャンペーンを行うこともあります。関心がある人は利用してみるといいでしょう。

「買いスワップ」と「売りスワップ」が異なることが多い

スワップポイントは、「買いスワップ」と「売りスワップ」が同額ではないFX会社がほとんどです。どのFX会社も、同一の通貨のポジションの場合、投資家に支払うスワップポイントよりも、受け取るスワップポイントのほうを多くしています。逆だと、FX会社は投資家がポジションを持てば持つほど、スワップポイントの赤字が増えることになります。

ちなみに、取引所取引(くりっく365)では、買いスワップと売りスワップが同額です(一本値と言います)。FX会社の中にも、買いスワップと売りスワップが同額になっているところもあります。ただし、同額であっても、「くりっく365」のスワップポイントが、他のFX会社と比較し、常に受取額が多い、または支払額が少ないというわけではありません。

スワップポイントを利用した「金利生活」は実現するのか

7.1 スワップポイントは銀行の預金金利に比べてはるかに有利

日本では、一般的な銀行の預金金利は年0.001%程度です。100万円を1年間預けても年間の利息はわずか10円にしかなりません(税引き前)。

FXのスワップポイントであれば、それよりもはるかに有利な金利を得られます。たとえば、米ドル/円を1万通貨買っている場合、1日のスワップポイントは30円~40円程度です(※FX会社によって異なる。2017年7月現在)。

たとえば、スワップポイントが30円/日だとすると、1年に得られるスワップポイントの合計は

30×365=10,950円

になります。

1ドル=120円の場合、1万通貨を購入するのに必要な資金は120万円です。120万円を投資して10,950円の利益を得られたとすると、収益率は約0.9%です。これでも、銀行の預金金利に比べれば2ケタ違いますが、FXの場合は証拠金取引ができます。1ドル=120円のとき、必要な証拠金は約48,000円です(レバレッジ25倍の場合)。48,000円で10,950円の利益を上げると、収益率は約23%になります。このような高いターンが得られる金融商品はほとんどありません。

7.2 豪ドル/円のスワップポイントが160円/日になった時代も!

銀行預金などに比べて高い金利が得られることから、「スワップポイントだけで生活できるくらいのリターンが得られるのではないか」といったことを言う人も少なくありません。

特に2008年ごろには豪ドル/円のスワップポイントが高く、1万豪ドルの購入に対して、1日160円ものスワップポイントを受け取ることができました。10万豪ドルなら1日1,600円、100万豪ドルなら1日16,000円になります。1日16,000円なら月収は約48万円です。これぐらいの収入があれば金利だけで暮らせそうです。

当時のレートは、1豪ドル=100円程度でした。100万豪ドルを購入するには1億円が必要ですが、まだレバレッジ規制のなかったころで、100分の1~200分の1の資金、つまり、50万円程度用意すればよかったのです(レバレッジ200倍の場合)。レバレッジが25倍でも、約400万円を用意すれば、100万豪ドルを購入できます。約400万円の資金で、1日16,000円、月間48万円、年間584万円の収入が得られるなら大きな魅力です。

7.3 スワップポイントで生活するために、安全なレバレッジは

スワップポイントによる金利生活を実現するために、重要な点があります。それは、FXには為替レートの変動リスクがあることです。

スワップポイント狙いの場合、長期間にわたりポジションを維持しなければなりません。ロスカットになってしまえば、その時点で終了します。では、ロスカットにならないためにはどれぐらいの資金(レバレッジ)なら大丈夫でしょうか。

ここで過去のデータを振り返ると、ショッキングに感じるかもしれません。豪ドル/円のスワップポイントが1日160円前後だった2008年5月ごろ、1豪ドル=約100円でした。しかし、その年の9月にはリーマンショックが起こり、10月には1豪ドル=55円台まで下がりました。半年足らずの間に約45円も下がったのです。

証拠金維持率100%未満でロスカットになる場合、45円の下落に耐えるには最低でも

4万円+45万円=49万円

が必要です(レバレッジ25倍の場合。手数料などを除く。以下同)。

1豪ドル=100円のときに、49万円の証拠金を預け入れるとレバレッジは約2倍です。これはぎりぎりのラインですから、余裕を見て、60万円ぐらい用意しておきたいところです。そうすると、レバレッジは約1.7倍となります。レバレッジ効果があまり出ませんが、ロスカットを防ぐためには仕方がありません。

さらに、1万ドルでは1か月4,800円程度のスワップポイントしか得られません。金利生活のためにはその50倍(24万円)ぐらいはほしいところです。となると50万豪ドルを購入することになりますが、レバレッジ1.7倍だと、約2,941万円の資金が必要になります。かなり大きな金額です。

当時スワップポイントを狙ってトレードしていた人たちの多くは、このような余裕のある資金で行っていませんでした。また、中には「ずっと続けるものだから」とストップロス(逆指値注文・損切り)を入れていない人も珍しくありませんでした。このため、相場の下落が起こったときに、多くの人がロスカットになり、大きな資金を失いました。

7.4 政策金利の低下に伴うスワップポイントの縮小も大きなリスク

せっかくスワップポイントが高くても、為替レートの変動が大きいと、それに備えて多くの資金を用意しなければなりません。前述したように、豪ドルの場合は、リーマンショック後の下落に耐えるには最低でも約2,941万円の資金が必要という計算になりました。

それでも、毎月の収益は約24万円です。年利では約9.8%になります。悪くはないですが、大きな資金がリスクにさらされているわりには、やや少ないように思います。

「リーマンショックのような事件は特殊な例で、今後起こる可能性は少ない」という意見もあるでしょう。仮にそうだとしても、ほかにも大きなリスクがあります。それは政策金利の低下です。

2008年5月ごろ、オーストラリアの政策金利は7%以上でした。ところが、リーマンショック後、同国では経済の活性化や雇用の創出などを目指して政策金利を下げ続けました。2017年7月には過去最低の1.5%になりました。政策金利の低下に伴い、スワップポイントも縮小しています。2017年7月には30円~40円となりました。160円の時代と比べるとかなり小さくなりました。

7.5 長期的なリスクが見えにくく、スワップ金利生活は難しい

豪ドルやニュージーランドドルは、かつてのような高金利ではなくなりましたが、今でも、南アフリカランドやトルコリラなど、高金利な通貨があります。これらに投資したスワップ金利生活は可能でしょうか。

できないわけではないですが、南アフリカランドやトルコリラは流動性が低く、豪ドルやニュージーランドドル以上に為替レート変動のリスクがあります。ロスカットを防ぐためには大きな資金が必要になります。

さらに、将来の価格の判断がしづらいのも為替の特徴です。リーマンショック後「もうこれ以上下がることはない」と言われましたが、南アフリカランド、トルコリラはいずれもリーマンショック後に最安値を何度も更新しています。他の通貨でも、スイスフランショックなども起こりました。

さらに懸念されるのは、日本の低金利政策がいつまで続くかという点です。外国の通貨と日本円のペアの場合、「買い」でスワップポイントが受け取れるのは、日本円が低金利だからです。将来的にそれが逆転すると、「買い」でポジションを持ち続けることができなくなります。その時点で、スワップポイントや為替レートが含み益になっていればいいですが、大幅なマイナスであっても、必ず手じまいしなければならなくなります。

地政学リスクも含め、「長期的に何が起こるかわからない」状況下では、スワップ狙いのトレードはリスクが大きいと言わざるを得ません。

8 まとめ

FX取引の特色の一つであるスワップポイントについてまとめました。金利として見ると魅力的ではありますが、為替レートの変動リスクも大きいため、「スワップポイントありき」でトレードすることはおすすめしません。FX初心者の人であれば、まずは通貨の売買そのもので利益を得られるようになることを目指しましょう。

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投信1編集部

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。