年金の用語に触れるたび、「これはどういう意味だろう」と思うことはありませんか。

年金制度は複雑で、かつ聞き慣れない言葉も多いため、どうしても敬遠してしまう方も多いようです。

とはいえ、「今の生活が年金の受給額に影響する」ということは押さえておいて損がありません。

年金額は払い込んだ保険料や加入期間に左右されるものですが、特に2階部分の厚生年金は受給額の差が激しいのです。

今回はそんな厚生年金の受給額を左右する「標準報酬月額」について学んでいきましょう。

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1. 「標準報酬月額」とは何か【年金用語】

標準報酬月額とは、報酬月額を区切りのいい等級に分け、その等級に該当する金額を表したものです。

厚生年金保険料だけでなく、健康保険料などの社会保険料を決めるもととなります。

例えば協会けんぽの東京支部の場合、次の保険料額表が使われます。

出所:協会けんぽ東京支部「令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」

仮に標準報酬月額が30万円の場合、等級は22(厚生年金の等級は19)に該当し、事業主と折半後の保険料は下記となります。

  • 健康保険料※:1万7730円
  • 厚生年金保険料:2万7450円

※40歳以上65歳未満の場合

このように、標準報酬月額をもとに社会保険料が決定するという仕組みです。

2. 標準報酬月額の決め方

では、その標準報酬月額そのものはどのように決まるのでしょうか。単純に年収÷12というわけではありません。

まず「報酬」にあたる定義ですが、基本給のほか役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えたもので、臨時に支払われるものや3カ月を超える期間ごとに受ける賞与等を除いたものが該当します。

これらの支給額をもとに、「資格取得時決定」もしくは「定時決定」という2つのタイミングで標準報酬月額が決定されるのです。

2.1 資格取得時決定

資格取得時決定とは、文字通り「従業員が入社したときに決定する」ことです。

被保険者資格を取得した時点での報酬を、月額に換算することで標準報酬月額が決定されます。

2.2 定時決定

出所:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」

定時決定は毎年1回行われるもので、4〜6月分の平均報酬額をもとに算定されます。

基本的には、ここで決定された標準報酬月額が9月から翌年8月まで適用されます。

上記の他にも、「随時改定」「産前産後・育児休業終了時」「特例改定」等のタイミングで標準報酬月額が変更されることもあります。

3. 標準報酬月額と年金の関係

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「標準報酬月額」をもとに、毎月納める社会保険料の金額が決まります。

日本年金機構によると、在職中の標準報酬月額に再評価率を掛けたものを平均したものが、年金額の計算に使われています。

標準報酬月額が高ければ保険料が高くなってしまいますが、その分、将来の年金額にも反映されるということです。

4. まとめにかえて

年金や保険にまつわる用語は複雑に思えますが、将来の生活を支える要となるものです。

少しでも不明点がある場合は、ぜひ年金事務所等に相談し、解消しておきましょう。

老後資金の対策を始めるには、十分に公的制度を理解する必要があります。その上で、足りない資金の準備方法について考えていきましょう。

参考資料

太田 彩子