「終活」をする人の具体的行動は何? あなたならどうする?

終活は贅沢なアクティビティ〜秋の夜長に考える

「終活」が広く知られるようになって5年ほど

先日、ある年配のご夫婦とお話をしている時、「今、シューカツをしていて・・・」という話題になりました。息子さんの「就活」の話なのか、それともご自身の「終活」の話なのか、一瞬迷ってしまいました。それくらい、「終活」という言葉は一般的なものになったように感じられます。

「終活」という言葉は、2009年頃からメディアや書籍に登場するようになったと言われ、2012年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテンに選出されました。

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一説には、2011年の東日本大震災が契機となって一気に普及したとも言われています。大切な人の命や、形ある大切な物が一瞬にして失われてしまう現実を目の当たりにしたことが、人々の心理に影響したのかもしれません。

いずれにしても、「終活」というのは、広く知られるようになって5年くらいの、まだ新しい考え方と言って良いでしょう。

「終活」=「死の準備」?

「終活」を文字通りに受け取ると、「(人生の)終末のための活動」となります。そのため、死を準備する活動と捉える人もいらっしゃいます。

確かに、終活をしていると、「お墓をどうするか決める」、「葬式をどうするか決める」、「遺言書を書く」といった話題になります。そのため、今まで意識していなかった「死」をどうしても考えることになります。

私の知っているケースの中に、「子どもに迷惑をかけないようにしたい」という気持ちから、年配の親世代が積極的に終活をする反面、親の死を意識したくないあまり、終活の話を子世代が避けているというファミリーがいます。

死後の事務的なことはエンディングノートか何かに記しておくとしても、面と向かって伝えておきたいことが伝えられないでいると、親世代の方が嘆いていたのが印象的でした。

「終活」をする人の具体的な行動

SBIいきいき少額短期保険株式会社が実施した「終活に関するアンケート」(注)には興味深い結果があります。

調査側では、「終活としてご本人がすでに行ったこと」と「ご本人がこれから行いたいこと」を合算したものが、終活を行う人の具体的な行動を表しているとしています。

これを上位から並べると、次の通りとなります(出典元では回答数の表記となっていますが、分かりやすさを重視して、ここではアンケート回答者に対する回答割合の表記に変えています)。

終活を行う人の具体的な行動(複数回答可)

  1. 物の整理、片付け 70.1%
  2. お金の準備(保険等) 65.2%
  3. (旅行や趣味など)いまの人生を楽しむこと 57.5%
  4. お墓の準備 44.8%
  5. 介護、延命治療などの意思表示 43.8%
  6. お葬式の準備 42.5%
  7. エンディングノートの作成 39.7%
  8. 遺言書の作成、相続の準備 33.5%

お墓の準備やお葬式の準備など、「死」を直接意識する項目よりも、「お金の準備(保険等)」や「いまの人生を楽しむこと」といった、これから残された時間をどう生きるかに関連する項目の方が上回っています。

トップの「物の整理、片付け」も、遺された人に迷惑をかけないということだけに留まらず、「今までの人生の棚卸しをして、これからの人生をよく生きるために身軽にする」という意味合いが含まれているように考えられます。

アンケート結果からは、終活は、死の準備というより、残された時間を良く生きるための活動と捉えている人が多いという印象を受けます。

注:調査期間:2016年12月9日~2017年1月17日、回答人数:1,400人、回答者構成:約70%が60歳~70歳代。女性が69%、男性26%、性別無回答6%

「終活」は贅沢なアクティビティ

親や兄弟、友人など親しい人が亡くなった時、遺された人が大変だったことを経験した(または見聞きした)ことが、終活をするきっかけになったという人が多いそうです。

大切な人の死に直面したことが直接のきっかけだったとしても、終活そのものは総じて贅沢なアクティビティと言えるでしょう。ある程度元気でないと終活はできませんし、終活をするということは、自分の人生にまだまだ選択肢があって、自分で人生の選択肢を選ぶことができるということを意味しているからです。

世代を超えたコミュニケーションツールにもなりうる「終活」

一方で、「遺される人に迷惑をかけないようにする」つもりが、遺される側からすると困惑を引き起こしてしまうということも散見されます。

お墓を例にとれば、子どもに墓を建てさせるのは申し訳ないということで、生前に立派な墓を建てたものの、面倒を見る人の負担のことまでは考えが及んでいないかもしれません。

逆に、「墓を残すと迷惑だろう」と思って大海原への散骨を希望したとしても、もしかすると、遺された側は弔う墓があってほしいと心では願っているかもしれません。

終活は、あくまで終活をする本人のためにあるべきです。同時に、子の世代が何を考えているのかを知り、何を伝えておくかをまとめる好機でもあります。言うなれば、終活は、世代を超えたコミュニケーションツールとも言えるでしょう

人生100年時代の「終活」には定期的な見直しが必要

寿命が延びて「人生100年時代」とも言われるようになりました。統計によれば、今生きている人の女性の2分の1、男性の4分の1は90歳を超えて生きることになります。

仮に70歳で終活をしたとしても、終活をしてから実際に人生を終えるまで20年以上の時間があることが普通のことになります。20年もあれば、その間に状況もいろいろと変わってくることでしょう。

終活が残された時間を良く生きるための活動であること、また、先ほど紹介したアンケートで、「お金の準備」が終活の具体的な行動の上位にきていることから、ファイナンシャルプランニングの視点で言えば、終活とは「人生が終わるまでのに生活資金がショートしないためのライフプランの作成」と捉えることができます。ですから、作りっぱなしにはせず、定期的な見直しが必要になってくるものと思われます。

これからお彼岸が近づいてきます。秋の夜長に、ご本人または親の終活について、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

藤野 敬太

ニュースレター

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藤野 敬太

東京大学経済学部を卒業後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(現日本アイ・ビー・エム)等を経て、2001年から2013年まで、日興アセットマネジメントにて、アナリストおよびファンドマネージャーとして日本株ファンドの運用に従事。
現在は、オフィス・ラコルドの代表として、ファミリー向け・ファミリービジネス向けのコンサルティングおよびアドバイザー業務を展開する。
CFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)。日本ファミリービジネスアドバイザー協会執行役員・フェロー