投資で増やそうと考える前に、働いて稼ぐことを考えましょう。リスクなく稼げる方が安心ですから(経済評論家 塚崎公義)。

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老後資金を「ガツガツ」投資で準備はNG?

「老後資金が足りないから投資をしよう」と考えている読者は少なくないはずです。また、そうしたセールストークで投資商品を売ろうとしている業者も多いでしょう。

しかし、投資で儲けようと思うとリスクを覚悟する必要があります。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ですから。

老後資金が足りないから投資をしたのに失敗して損をしてしまったら、惨めな老後を覚悟しなければならないでしょう。そんなリスクは避けたいですね。

老後資金には「守りの投資」を取り入れる

筆者も投資を勧めていますが、それはガツガツと儲けようというものではありません。

銀行預金はインフレが来た時に目減りしてしまうリスク資産なので、老後資金の一部はインフレに強い株や外貨で持とう、という「守りの投資」です。

詳しくは別の機会に詳述しますが、「ガツガツ投資は避けたい」という点だけはしっかり認識していただければ幸いです。

老後資金の不安解消「定年後も働いて稼ぐ」が最適解

日本人の平均寿命は延びている

出所:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命

老後資金が足りないなら、働いて稼ぐことで「老後」を短くしてしまえば良いのです。昔より平均寿命が延びた分だけ「健康寿命」も延びているとすれば、「老後」はそれほど延びていないはずですから。

「60歳定年」が努力義務となったのは、実は1986年(昭和61年)のこと。

高度成長期のサラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)であれば、長い人で15歳から55歳まで40年間働いたケースもあったわけですね。(農業従事者などは、さらに長く働いたかも知れません)

つまり、当時の平均寿命(※)のまさに半分以上を働いていたということになります。

そう考えたとき「人生100年時代」の足音が近づくいま、20歳から60歳までの40年間と言わず、せめて70歳くらいまでは働きたいものです。

※1985年時点の日本人の平均寿命は、男性74.78歳、女性80.48歳。(厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」)

サザエさんの磯野波平氏は「54歳」だった

ちなみに、サザエさんに登場する磯野波平氏は54歳という設定です。高度成長期の定年が55歳だったのは、バリバリ働くことが難しくなった人には「お引き取りいただいた」ということだったのでしょう。

そう考えると、「波平氏より元気な高齢者は働け」という「波平基準」を設けたくなりますね(笑)。

自営業者には定年がないので、元気な間は現役として働けるでしょう。サラリーマンも定年退職後、元気な間は働き続けたいものですね。