3. 厚生年金の「支給停止」ラインに注意

厚生年金を受給しながら働けば受給額が増やせるということは、「どんどん収入を増やせばそれだけ年金額が増える」と考える方もいるかもしれません。

しかし、毎月の厚生年金額と収入の合計が一定金額を超える場合、年金額の一部または全部が「支給停止」となってしまうため注意が必要です。

支給停止については、「基本月額」と「総報酬月額相当額」について理解しておく必要があります。

出所:日本年金機構「在職老齢年金の支給停止の仕組み」

3.1 「基本月額」と「総報酬月額相当額」

  • 基本月額:厚生年金年額を12で割った金額
  • 総報酬月額相当額:[毎月の収入]+[1年間の賞与を12で割った金額]

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が48万円以下か超えるかによって、支給停止が決まるのです。

3.2 【基本月額+総報酬月額相当額の合計額が48万円以下の場合】

支給停止はなく、全額受給できます。

3.3 【基本月額+総報酬月額相当額の合計額が48万円超の場合】

以下の金額が支給停止になります。

支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-48万円)✕1/2✕12

厚生年金の受給額を増額するはずが支給停止となってしまわないように、1カ月の収入と年金額の合計が48万円を超えないようにあらかじめ計算することが大切です。

4. まとめにかえて

65歳からも働いて厚生年金に加入することで、受け取る年金額を増額することができます。

65歳から70歳までの5年間も働くと、たとえば平均標準報酬額20万円の方の場合、年間6万5700円の増額が可能となります。

ただし、基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止となってしまうため、働く際には十分に注意しましょう。

参考資料

木内 菜穂子