生成AIの今後は?エッジデバイスの役割に注目

マイクロソフトのWindows OSはそのバージョンごとにさまざまなトレンドがありました。例えば、2009年にリリースされたWindows 7は「仮想化、モバイル、SaaS」、2015年のWindows 10は「クラウドネイティブ、IoT、ビッグデータ」がキーワードになっていました。

出所:日本マイクロソフト株式会社 講演資料

仲西氏によると2021年にリリースされたWindows 11ではすでにAIはOSの大きなテーマの一つだったとのこと。フィッシング被害を予防するMicrosoft Defender SmartScreenやミーティングツールにおける背景画像やバックグラウンドノイズの最適化など、ユーザーにあまり意識させない部分でAIが活用されていました。Copilotはまさにその延長線上にある進化といえます。

現在の生成AIのブームを理解する上では従来のAIとの違いを認識することも重要です。仲西氏は「従来のAIは専門知識や構造化されたデータが必要。整理・分類・検索という用途がメインだった。しかし、現在の生成AIは文章などの非構造化データが利用でき、幅広い用途に活用できる。そして専門家でなくても、誰でも利用可能なものだ」とその違いを説明しました。

出所:日本マイクロソフト株式会社 講演資料

AIのインパクトは端末にも及ぼうとしています。これまでAIによる処理はデータセンターで実行されるため、混雑時は遅延する、プライバシーの懸念があるなどの問題がありましたが、今後は手元のエッジデバイスで実行されるようになり、リアルタイム処理が行われ、プライバシーも確保されるようになると予想されています。

もちろんこうした処理はすべての端末にできることではありません。対応するためにはCPU、GPUに続く第3の頭脳と言われているNPU(Neural network Processing Unit)の搭載が欠かせません。仲西氏は「NPUを搭載するPCは徐々に登場してきているが、3年後にはあらゆるメーカーから発売され、普及していくのではないか」と見立てを語りました。

参考資料

大蔵 大輔