「ガソリン代が高いから補助金(※燃料油価格激変緩和補助金)で引き下げる」というのは省エネを阻害する悪手であり、他の補助金を検討するべきだと筆者は考えます(経済評論家 塚崎公義)。

1. 消費者物価の上昇から生活を守る政策は歓迎

消費者物価の上昇が止まりません。その勢いは賃金上昇率を上回っており、労働者の生活は苦しくなっています。公的年金も、物価上昇率ほどには増えていません。よって、年金生活者の生活もまた、厳しいものとなっています。

本来であれば、賃金などが物価に見合うだけ上昇することが望ましいのですが、今回は円安やエネルギー価格高騰といった要因で輸入物価が上がっていることが主因であり、企業に賃上げをする体力が乏しいという事情もあるでしょう。

円安分に関しては、輸出企業はドルが高く売れて儲かっている一方、輸入企業はドルを高く買わされて困っているわけです。

しかし前者は主に株主への配当等となっていて輸出企業等の労働者への恩恵は限られています。一方で、後者は幅広い消費者にとって重い負担となっているのです。

そこで、政府が財政で国民生活を守ろう、という方針であることは筆者も歓迎しています。

政治家の人気取りで財政赤字が無制限に拡大してしまうような「バラマキ政策」では困りますが、実際に国民が困っているのを何とかするための財政支出であれば、積極的に行なうべきでしょう。

しかし、どのように国民生活を支援するか、という点に関しては、現在の政府の方針に筆者は賛同しかねます。