2023年の公的年金の支給額は、3年ぶりに前の年度より引き上げとなりました。

こちらのニュースは一見嬉しいようにみえますが、物価高騰が続く現状では喜んでばかりもいられないようです。

給額の伸び率は物価や賃金の上昇率よりも低く抑えられ、実質的には目減りすることになっています。

さて、次の年金支給日は2023年12月15日(金)となりますが、この日に45万円が振り込まれる夫婦がいるとのこと。

45万円。大きいと思える受給額ですが、実は「羨ましい」と言い切れない理由があるのです。

年金支給日や支給額についてくわしく確認していきましょう。

1. 日本の公的年金制度「国民年金・厚生年金」について

日本の公的年金制度は構造上「2階建て」といわれています。

下の図を見ていただくとイメージしやすいでしょう。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

それぞれの特徴は次のとおりです。

1.1 国民年金(1階部分)

国民年金(基礎年金)は、原則として日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が加入します。

国民年金の保険料は全員一律で、年度ごとに見直しが行われます。

老後に受け取る年金額(老齢基礎年金)は、この保険料納付状況によって決定する仕組みです。

40年間(480ヶ月)全ての保険料を納付すれば、満額を受給することができます。

※第2号被保険者・第3号被保険者は個人で国民年金保険料を納付する必要はありません。

2023年度:国民年金の保険料と満額の年金額

2023年度の国民年金の保険料と老齢年金の満額の年金額は以下のとおりです。

  • 保険料:月額1万6520円
  • 年金額:月額6万6250円(67歳以下新規裁定者の満額)

1.2 厚生年金(2階部分)

厚生年金は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入します。

厚生年金の保険料は「報酬比例制」となり、厚生年金保険加入期間中の給与や賞与などの報酬によって決定します。

老後に受け取る年金額(老齢厚生年金)は、年金加入期間と期間中の報酬によって決定するため、長く働くほど、そして収入が多いほどに、多くの老齢厚生年金を受け取れる仕組みです。

老齢厚生年金は、老齢基礎年金(国民年金)に上乗せして支給されるため、一般的に国民年金より手厚い保障とされていますが個人差が大きく、そうではないケースも多々あります。

では、厚生年金はどれくらい受け取ることができるのか、厚生労働省が発表した2023年度の「標準夫婦」のケースを元に確認していきましょう。