1. 円相場急上昇を受けて日経平均は大幅安

2023年12月8日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比550円45銭安の3万2307円86銭となりました。11月8日以来1カ月ぶりの安値圏です。

日銀の植田和男総裁が7日の参院財政金融委員会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言したことから、市場では12月の会合でマイナス金利解除もあり得ると受け止められました。円相場では円が買われ、ドルが売られる動きとなりました。同日朝に1ドル=147円台だった円相場は一時、141円台まで急伸しました。これを受けて、トヨタ自動車などの自動車関連、鉄鋼、機械などの輸出関連銘柄が、業績に影響を与えるとの見方から広く売られました。

今週、日経平均はどのような動きになるでしょうか。8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比130ドル49セント高の3万6247ドル87セントで終えています。1週間ぶりに年初来高値を更新しました。2022年1月以来およそ1年11カ月ぶりの高値圏です。同日発表された11月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が市場予想を上回ったことから、景気が底堅いと捉えられ、買われる展開となりました。日本株も週初から底堅い展開になることが期待されます。

足元の円相場の行方が気になるところですが、実際に日銀が直近でマイナス金利解除に踏み切るかどうかは微妙なところです。むしろ、円買いの動きは一巡し、年末に向けて再びドル買いに転じる可能性もあります。8日のニューヨーク外国為替市場で円相場は反落し、1ドル=144円90銭~145円00銭付近まで戻しています。

ただ、足元の円高・ドル安傾向を受けて、食品、流通、製紙などの内需関連株が買われています。相場環境が刻々と変化する中で、どの銘柄が上がるのか判断が難しいところですが、柔軟に対応しチャンスをつかみたいところです。

12~13日には、米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われます。12日には11月の米消費者物価指数(CPI)の発表も行われます。国内では13日に日銀短観が発表されます。今後の金融政策の行方を巡って注目されそうです。

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