マレーシア経済の成長とリンギットの反転上昇は継続見込み

マレーシア中銀が政策金利引き上げ

マレーシア中銀、3年半ぶりの値上げを発表

マレーシア中銀(バンク・ネガラ・マレーシア)は、1月25日、政策金利を25ベーシスポイント(0.25%)引き上げて、3.25%とすると発表しました。マレーシアの利上げは3年半ぶりのことです。

これは、2017年にマレーシア経済が5.4%もの成長を遂げ、インフレ率も3.7%と中銀の目標レンジである(3-4%)の上限に近づいたことで、「金融緩和の程度を正常化する」ために利上げ実施を判断したものです。

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マレーシア中銀は「低すぎる金利が長期間続くことによって発生しかねないリスクを回避するために、金融政策のスタンスが適切であるよう、予防的に行動する必要性を認識している」と説明しています。

マレーシアは、2018年の成長率が4.8%と2017年をやや下回り、インフレ率も政府目標が2.5-3.5%と落ち着くことを予想しており、「現行の政策金利の水準で、金融政策のスタンスは引き続き緩和的」なスタンスを維持しているとのコメントを付すあたりは、現状追認的ではあるものの、市場の反応が否定的にならないよう配慮したものと推測されます。

アセアンやインドなど途上国に共通する点ですが、インフレ率の安定は、国内消費の安定成長に欠かせない要因です。したがって、インフレ率をうまくコントロールすることが経済の安定成長につながります。

ただ、インフレ率の動向はこのところ、原油価格がじり高となってきていることから「依然として極めて不透明な」状況であることを認めており、マレーシア中銀としては注視するスタンスです。

リンギットは中長期的な上昇継続が見込まれる

マレーシア中銀が前回、政策金利を上げたのは2014年7月でした。しかし、この利上げの後、原油安から資源国でもあるマレーシア経済は打撃を受け、政治的なスキャンダルも相まって、大幅なマレーシアリンギット安を招いたことは、以前にも記述した通りです*。

実際、2015年と2016年にはいずれも1米ドル=4.50リンギットが目前に迫るまで、リンギット安が極まりました(ちなみに、1997年のアジア通貨危機の際は1米ドル=5.00リンギット水準への下落でしたので、その程度の大きさは理解いただけると思います)。

しかし、その後はマレーシアのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映する形でリンギットは値を戻し(上昇し)、リンギットは2017年間では1米ドル=4.00リンギット水準へと10%以上上昇、2018年に入っても約4.0%程度上昇しています。

今後も、インフレ抑制がしっかりとできるとの前提が崩れなければ、資源価格の安定と世界経済の緩やかな成長の恩恵を受け、マレーシア経済の安定成長とリンギットの上昇は中長期で継続すると予想しています。

*参照:『「イスラム金融」の中心地へ、ポテンシャルを秘めるマレーシア アジアの着実な成長と資産のアジアシフト(4)マレーシア』(2017年7月29日公開)

Nippon Wealth Limited 長谷川 建一

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長谷川 建一
  • 長谷川 建一
  • ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク
  • 取締役兼CIO (Chief Investment Officer)

京都大学卒、MBA(神戸大学)。 シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。
2004年末、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)に移り、リテール部門マーケティング責任者として活躍。2009年からは国際部門でアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。
2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク)にてCOOに就き、2017年3月よりCIOを務める。