3. 厚生年金「月額15万円」なら「繰下げ受給」でいくら増える?
前章でもお伝えしたとおり、厚生年金の平均月額は「約14万〜15万円」ほどとなっています。
では、厚生年金が月額平均15万円の場合、繰下げ受給をすることでいくら増やすことができるのでしょうか。
日本年金機構の「年金の繰下げ受給」の「繰下げ時増額率の早見表」をもとに、66歳〜75歳の年齢別の受給額を試算した結果、下記のようになりました。
- 66歳:16万2600円(+1万2600円)
- 67歳:17万5200円(+2万5200円)
- 68歳:18万7800円(+3万7800円)
- 69歳:20万400円(+5万400円)
- 70歳:21万3000円(+6万3000円)
- 71歳:22万5600円(+7万5600円)
- 72歳:23万8200円(+8万8200円)
- 73歳:25万800円(+10万800円)
- 74歳:26万3400円(+11万3400円)
- 75歳:27万6000円(+12万6000円)
受給開始年を1年繰下げるごとに、受給額が約1万円ほど増えていくのがわかります。
75歳まで繰下げる場合、27万6000円となり、贅沢な暮らしを求めない限りは、貯蓄がなくても老後を安泰に生活していける可能性は高いでしょう。
3.1 メリットだけじゃない?繰下げ受給の「注意点」
繰下げ受給をすることで、本来受け取る年金額よりも受給額をアップさせることができますが、人によっては「繰下げ受給をしたことで損をした」というケースにもなりかねないため注意が必要です。
たとえば、公的年金は現役時代の給与と同様に「税金」や「社会保険料」が天引きされた状態で私たちのもとに振り込まれます。
「収入」である年金額が上がれば上がるほど、税金や社会保険料の金額も上がるため、額面は増えても、実際の手取り額はあまり変わらないといったケースも出てくるのです。
また、繰下げ受給を選択した場合、従来よりも「受給開始年齢が遅れる」ため、その人の寿命によってはトータルで受け取れる受給額が少なくなる可能性もあります。
寿命は誰にも分かりませんが、人によっては「65歳から受給したほうがお得になる」ケースもあるため、何年生きれば繰下げ受給でお得になるのかも一緒にシミュレーションしておけると良いでしょう。
4. 繰下げ受給は慎重に検討を
本記事では、受給スタートを遅くして年金を多く受け取る「繰下げ受給」について詳しく紹介していきました。
厚生年金「月額15万円」だった場合、繰下げ受給を選択することで、最大で「月額27万6000円」まで増額させることが可能となります。
しかし、上記はあくまでも「額面の金額」であり、年金額が高いほど税金や社会保険料の負担も増えることから、「実際の手取り収入」を考えた場合、人によっては損になる可能性もあります。
また、老後生活の年数によってはトータルで受け取れる受給額が少なくなる可能性もあるため、ご自身の健康状態や資金なども考慮しながら、繰下げ受給に検討・判断ができると良いでしょう。
参考資料
和田 直子