仮想通貨暴落も何のその、ICOの勢いはニューヨークから東京へ?

ビットコイン・カンファレンス・ニューヨーク潜入レポ

コインチェック事件以来、意気消沈ぎみの仮想通貨市場ですが、どっこいニューヨークではスタートアップが盛り上がっています。今回はマンハッタンで開かれたビットコイン・カンファレンスの模様を中心に、仮想通貨市場で躍進が期待されるビットコイナーたちの現況をお伝えします。

ICOでの損失、泣き寝入りはダメ!

季節外れの大雪に見舞われた3月21日の夜、ビットコイン・カンファレンス・ニューヨーク2018が開催されました。

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会場となったのはマンハッタンのやや南、マディソン・スクエア公園にほど近い24丁目のイベントホールでした。公園は日本にも進出したハンバーガーチェーン、シェイクシャック1号店で有名ですので、“ハンバーガーの聖地”として日本の方にもなじみのあるエリアかもしれません。

当日は200人以上の参加者が詰めかけ、延べ20人以上のスピーカーとの活発な議論が交わされました。

パネルディスカッションでは仮想通貨への規制が取り上げられましたが、会場が白熱したことから参加者のほとんどが税金やICO(仮想通貨を使った資金調達)に関連した規制の動きに頭を痛めていることがうかがえました。

また、パネラーの意見も喧々諤々で、法整備の遅れも浮き彫りとなっています。

たとえば、「ICOで仮想通貨を購入したが、企業が破産した場合の対抗策はあるのか」との会場からの切実な質問に対し、パネラーからは「諦めるしかない」と取り付く島もない回答が寄せられられ、会場には苦笑いがこぼれました。

同パネラーは、コインチェック事件にも触れ、投資家の損失が補填された例はあるものの、これは企業による例外的な対応であって、現時点では投資家を保護する法整備が未発達であることから、ICOへの投資は法律的に守られていないとの認識を持つべきだとアドバイスを送っています。

ただし、別のパネラーはこの意見に真っ向から反対。「投資家ができることはたくさんあるので、諦めずに訴訟に持ち込む道を探るべき」と主張しています。

また、ケースバイケースとしながらも、ICOで発行された仮想通貨を企業の負債とみなすことは可能であり、もしその企業に資産が残されているのなら取り戻す権利はあるとの立場です。また、契約に不履行がないのかどうか、ホワイトペーパーをよく調べてみることも重要だと指摘しています。

ICOでの訴訟ではありませんが、一滴の血液から200種類の疾病を検査できると吹聴し、一時巨万の富を得たセラノスのエリザベス・ホームズ最高経営責任者(CEO)がいくつもの訴訟を起こされていることが米国では大きく取り上げられています。

奇しくも、カンファレンス当日の21日には個人情報の不正利用を巡り、フェイスブックに対して集団訴訟が起こされたことも明らかになっています。

また、パネラーの1人であったベテラン弁護士からは、「仮想通貨に関連した税制・規制はまだ暫定的であり、今後変更される可能性が高く、私自身は大きな変更があると確信している。投資家にとってより投資しやすい環境が整備されることになるだろう」との見方が示されました。

現時点での法整備には不満が多いかもしれませんが、それを理由に投資をあきらめるべきではないとのスタンスです。

仮想通貨暴落でもICOは衰え知らず、舞台はNYから東京へ?

カンファレンスを主催したホク(Hoqu)はブロックチェーン技術を利用した世界初の分散化されたアフィリエイト・プラットフォームの構築で知られており、“アフィリエイターの救世主”ともいわれています。

同社は、広告主とアフィリエイターを直接結びつけ、中間業者の手数料を省くことで注目されがちですが、ブロックチェーンを利用するメリットそれ以外にもあります。

たとえば、広告主側にはアフィリエイターが不正を働いて不当な報酬を得るリスクがあり、アフィリエイター側にもサイトを経由していないかのごとく偽装されて本来受け取るべき報酬が得られないリスクがあります。

そのため、ブロックチェーン上でのスマートコントラクトを利用することで、取引の正当性と透明性が保証され、不正行為が防げることも大きな特徴となっています。

ただ、課題もあるようで、筆者が会場にいたホクのCEO、Alexey Shmonov氏にコスト面での質問をしたところ、「プラットフォームの運営には莫大なエネルギーが必要で、その問題はまだ未解決だ」と述べています。

このエネルギー消費の問題は仮想通貨やスマートコントラクトの普及を阻む壁と考えられており、一筋縄ではいかないようです。

カンファレンスでは、モバイル上の対戦型スキルゲームのプラットフォームの提供で日本でも注目度の高い“プレイホール(PlayHall)”や、資産の裏付けのある仮想通貨の発行を手がける“Fungible.Network”、バーチャルリアリティを利用したモバイルゲームのクリエーターや広告主向けにプラットフォームを提供する“IZX”など、さまざまなスタートアップ企業が紹介され、事業内容とともにICOへ向けた活動のプレゼンテーションが行われました。

これらの中で、“DISCIPLINA”はリクルートというちょっと意外な業界に進出しています。大学などの教育機関が持つ学生の成績・業績をデジタル化して保存し、そこにリクルーターがアクセスすることで、必要な技術や知識、経験のある理想的な人材を見つけることが可能になるとのことです。

また、ブロックチェーンを利用することで、情報の質に対する信頼性が高まることが学生とリクルーターの双方にとってのメリットになるとしています。

ところで、3月28日、29日の両日には東京ビックサイトにて世界最大級のスタートアップイベント「Slush Tokyo 2018」が開催されます。仮想通貨市場で3番目の市場規模を誇るリップルの最高技術責任者(CTO)、Stefan Thomas氏の登壇が注目を集めており、7000人の参加が見込まれています。

このSlush東京にはDISCIPLINAのIlya Nikiforov CEOも開発責任者とともに参加するとのことです。事業内容についてはもちろんのこと、同社が開発したブロックチェーンの構造やICOにまつわる話など、どんな質問でも歓迎するとのことですので、参加を予定されている方はぜひ直接、話を聞いてみてはいかがでしょうか。

ビットコインをはじめとする仮想通貨は年初から急落に見舞われ、現在も価格の低迷が続いていますが、その一方でICOブームは続いています。

スタートアップというとシリコンバレーのイメージですが、ここニューヨークでも日進月歩で新しいアイデア生み出され、ビジネス化されています。カンファレンスでは、黎明期にある仮想通貨市場で未来に突き進むビットコイナーたちの息吹がひしひしと感じられました。

投信1編集部

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