3. 毎月3万8000円の赤字を補うための投資計画

投資の知識や経験が豊富で、短期投資でも上手く利益を確保できるなら話は別ですが、長期的に利益を出し続けるのは簡単ではありません。

そこで必要となる考え方は、「長期・積立・分散」によって株式投資のリスクを抑えることです。

具体的には、10年や20年といった長期視点で投資計画を立て、複数の高配当銘柄を、タイミングを分けつつ買付していくことが理想です。

買付するタイミングと銘柄を分散することで価格変動のリスクを抑えることができ、受け取った配当金を再投資すれば複利効果も得られます。

あくまでも一例ですが、45歳から65歳までの20年間で高配当銘柄をコツコツと積み立て、毎月3万8000円(年間45万6000円)の赤字を補えるケースを考えてみました。

月5万円・20年間・平均配当利回り3.0%

月5万円・20年間・平均配当利回り3.0%のシミュレーション

出所:金融庁「資産運用シミュレーション」

上記のシミュレーションは、年間60万円(毎月5万円)ずつ投資し、受け取った配当金は再投資しつつ、平均配当利回り3.0%で運用できたケースです。

65歳の時点で投資元本は約1642万円となっており、保有銘柄の平均配当利回りが3.0%であれば、老後に受け取れる年間配当金は約49万円となります(税金を考慮せず)。

このように、理論上は生活費の赤字を配当金で賄うことができますが、シミュレーションのように運用を行うのは簡単なことではありません。配当金生活を目指すなら、いくつかの注意点を押さえておきましょう。

3.1 配当金で生活費を賄うことは可能だが、注意点も

長期間保有できる高配当銘柄を適切なタイミングで買うことができれば、配当金を受け取りつつ、株価の上昇による値上がり益も見込めるかもしれません。

しかし、景気悪化などで株価が低迷すれば保有株式の評価額は下がりますし、配当金を減額する企業が出てくるかもしれません。

そういったリスクを伴うのが株式投資であるため、銘柄選択や買付タイミングの判断、保有銘柄の入れ替えなど、投資の知識やテクニックが必要となります。

株式投資を始めるにあたって、しっかりと投資の勉強をしつつ、経験を積んでいかなければなりません。

また、シミュレーションのように毎月5万円も投資に回すのは難しいケースもあると思います。

投資は余裕資金で行うべきであり、生活に支障をきたしてまで行うものではありません。家計の状況によっては投資額を調整し、より長期的な投資計画を立ててみましょう。

4. リスクを把握して長期的な投資計画を

配当金で老後の生活費を補うことは可能ですが、株式投資のリスクをよく理解し、長期的な視点での運用を心掛ける必要があります。

現在の年齢によっては老後までの投資期間が限られますが、株式投資によって得た知識や経験があれば、老後も運用を続けることができます。

現在は新NISA(少額投資非課税制度)が始まっているので、非課税投資枠を有効活用しつつ、老後に向けて準備を始めていきましょう。

参考資料

加藤 聖人