2. 子育て世帯「教育資金」はいくらだと思う? 月々いくら備えている?

ソニー生命保険株式会社が、今回で11回目(※2014年~2016年は「子どもの教育資金と学資保険に関する調査」として発表)となる「子どもの教育資金に関する調査2024」を実施。

大学生以下の子どもがいる世帯の抱えるお金事情が浮き彫りとなりました。

調査概要は下記のとおりです。

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女
  • アンケート母数:1000名(全国)
  • 実施日:2024年1月31日~2月1日
  • 調査協力会社:株式会社ネットエイジア
  • リリース公開日:2024年3月12日

2.1 小学生から社会人までに必要な教育資金「平均予想金額」1439万円

【教育費】小学生から社会人までに教育資金はいくら必要だと思う?

【教育費】小学生から社会人までに教育資金はいくら必要だと思う?

出所:ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2024」

未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人までに教育資金はいくら必要だと予想するか聞いたところ、「1000万円~1400万円位」(31.4%)と「2000万円~2400万円位」(25.4%)に多くの回答が集まりました。

グラフからも、全体をならした平均予想金額は1439万円だとわかります。

平均予想金額を過去の調査結果と比較すると、2022年(1377万円)、2023年(1436万円)と、調査開始以来最高額となった2023年を上回りました。

物価高や相次ぐ値上げラッシュなどを背景に予想する教育資金は上昇を続けるも、上げ幅は縮小しています。

2.2 子どもの進学費用の備え:平均支出額「月1万6942円」

【進学費用】月々いくら支出している?(子ども1人あたり)

【進学費用】月々いくら支出している?(子ども1人あたり)

出所:ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2024」

高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(752名)を対象とした質問をみていきましょう。

子どもの進学費用のための備えとして、一人あたり月々いくらくらい支出をしているか聞いたところ「0円」(30.6%)に最も多くの回答が集まったほか「1万円~1万4999円」(17.6%)、「2万円~2万9999円」(17.4%)、「3万円以上」(19.3%)にも回答が集まりました。

すえてをならした平均月額は、1万6492円でした。

平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2022年(1万5690円)、2023年(1万8372円)。増加傾向から一転、今年は1430円の減少となりました。

物価高による実質賃金の減少を受け、家計の厳しさが増しているという実態が垣間見える結果となりました。

ちなみに、全回答者(1000名)に子どもの将来、教育資金の不安を感じるか聞いたところ「不安を感じる」は83.5%、「不安を感じない」は16.5%となりました。

子どもの教育資金に不安を感じる親(835名)に不安の理由を聞くと「物価の上昇」(55.7%)が突出して高くなりました。物価上昇を受け、今後の教育費の増加に懸念を抱く親が多いのではないでしょうか。

このギャップを解消するべく、注目されているのが「児童手当」の制度です。拡充される予定の内容をおさえておきましょう。

3. 2024年12月に前倒し「児童手当」拡充、変更点をおさらい

子育て世帯を支える制度のひとつが「児童手当制度」。2023年10月末の政府与党政策懇談会では、児童手当の拡充開始を当初の2025年2月から2ヶ月前倒しすることが表明されました。

拡充された制度を反映した児童手当は2024年12月に初支給が行われるとされ、今後の動向が注目されています。

2023年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」を踏まえ、若年層の人口が急激に減少する2030年代に入るまでに現実的で具体的な対策を実施する姿勢を見せる日本政府。

改めて「児童手当」制度の主な変更点をおさらいしていきましょう。

3.1 「児童手当」における所得制限の撤廃

2023年8月末に公表された、こども家庭庁「令和6年度予算概算要求の概要」においても「児童手当の所得制限の撤廃」が明記されています。

結果、所得を問わず多くの家庭で子どもために使えるお金が増える可能性があるでしょう。

3.2 第3子以降に支給される月3万の「児童手当」

現行の児童手当の支給額は「3歳未満が一律1万5000円」「3歳以上〜中学卒業まで1万円、ただし、第3子以降は1万5000円」と定められていました。

今後、第3子以降は3万円と倍増で支給される予定です。多子家庭にとって、かなり大きな変更点といえるでしょう。

4. 児童手当以外の「こども未来戦略方針」の軸とは

「こども未来戦略方針」では、児童手当の見直し以外にも「こども・子育て政策の強化」として、多様な具体策が実施されると明記されています。

「若い世代の所得を増やす」という側面の主な内容をチェックしていきましょう。

4.1 高等教育費の負担軽減

  • 授業料減免(高等教育の無償化)の拡大
  • 子育て期の貸与型奨学金の返済負担の緩和
  • 授業料後払い制度の抜本拡充

労働者福祉中央協議会の資料によると、2010年代前半に奨学金の返済困難が社会問題として可視化されてきたようです。

しかしその後、世論喚起や政策・制度の改善の結果として導入された各種制度の対象は、主に低所得世帯の学生に限定されました。

高等教育を受ける機会を平等化するためには支援対象のさらなる拡大や負担軽減が強く求められています。その一端としての政策といえるでしょう。

4.2 出産等の経済的負担の軽減

  • 出産育児一時金を42万円から50万円まで大幅に引上げ
  • 2026年度から、出産費用の保険適用などを進める

そもそも「出産育児一時金」とは、出産前後の経済的負担を軽減するため保険組合から給付されるお金のこと。出産費用等の状況を踏まえた改定が実施されます。

4.3 子育て世帯への住宅面での援助も

  • 子育て世帯が優先的に入居できる住宅、今後10年間で計30万戸用意
  • フラット35の金利を子どもの数に応じて優遇

その他の政策も含め、子育て世帯にとって経済的および精神的負担感が緩和される支援になるかどうか注目です。

5. 政府による「異次元の少子化対策」の動向を要チェック!

子どもの教育にかかる費用や世帯所得などを踏まえてシミュレーションし、コツコツと貯蓄ができるように前もって計画が立てられるとよいでしょう。

現代では共働き率が増加し、育児と仕事が両立できるように様々な支援もなされています。

夫婦で協力してより豊かな子育てができるよう、今一度マネープランを見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料

荒井 麻友子