円高進行と並んで、自動車メーカーを悩ます懸念事項とは?

この記事の読みどころ

2015年度の国内新車販売は対前期比▲6.8%減となり、2期連続で約▲7%となる厳しい結果でした。軽自動車の不振が足を引っ張りました。

2016年度は、消費再増税に伴う駆け込み需要の発生が見込まれるため、その特需を如何にして取り込むかが課題です。しかし、最近は再増税延期の観測が出始めています。

自動車メーカーから見れば、「再増税するのかしないのか、早くハッキリしてくれ」というのが本音ではないでしょうか

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国内新車販売は2期連続で▲7%減の厳しい結果に

2015年度(2015年4月~2016年3月)の国内新車販売台数(軽自動車を含むベース)の実績が公表されました。総合計では対前期比▲6.8%減となり、2期連続の前年割れでした。

その前年度(2014年度)は、消費増税の影響により、同じく対前期比▲6.9%減でした。そのため、2015年度は当初、小幅回復が期待されていたと考えられます。それだけに、2期連続して約▲7%減となったのは意外な結果とも言えましょう。

軽自動車販売の不振が深刻、足元は登録車も弱含み

▲6.8%となった2015年度の内訳を見ると、登録車はほぼ横這い(+0.0%)だった一方で、軽自動車が▲16.6%減となり、全体の足を引っ張りました。2015年4月以降に新車として販売された軽自動車に対して、軽自動車税が引き上げられたことが最大の要因と見られます(注:2015年3月までに購入した軽自動車は据え置き)。

また、2014年末に大手2社の間で繰り広げられた乱売競争の後遺症も少なからず影響している模様です。一方、横這いとなった登録車も、2016年に入ってから再び弱含んでおり、1-3月累計は対前年同期比▲2.7%減となっています。

クルマは今も昔も代表的な高級消費耐久財

クルマは今も昔も住宅に次ぐ高級消費耐久財であり、消費動向を分析する上で、その販売動向は非常に重要です。

2015年度の結果である、地方地域社会にとって足代わりとも言える軽自動車の販売不振、及び、直近の登録車の販売腰折れ等を見る限り、高級耐久消費財への消費マインドは想定以上に落ち込んでいると言えましょう。特に、軽自動車の販売不振を引き起こしている地方経済の弱さが気になります。

消費再増税の行方は、円高進行と並ぶ懸案事項

ところで、自動車メーカー各社にとって、現在抱えている最大の懸念材料は円高進行でしょう。しかし、その他にもう1つ大きな懸案事項があります。それは、消費再増税の行方です。

各社は、2017年4月からの再増税(8%⇒10%へ)に伴い、2016年の晩秋から駆け込み需要が発生すると想定しているはずです。実際、過去の増税時期を振り返ると、例外なく大きな駆け込み需要が出ています。

もちろん、再増税後は国内販売が再び大きく落ち込むと思われますが、それは織り込み済みで、とにかく、いかにして今回の駆け込み需要を取り込むかが最大の課題だと言えます。そのために、新商品のラインナップ、割安感を出す価格戦略、受注増に対応するための生産体制等を練り上げているでしょう。

「再増税するのかしないのか、早くハッキリしてくれ」が本音?

しかし、最近は消費再増税が延期されるという観測がたびたび報道されています。現時点では、政府は再増税を予定通り実施としていますが、そのトーンが日に日に弱くなっていることは否めません。

もし、本当に消費再増税が延期されるならば、当然、駆け込み需要は発生しないでしょう。それどころか、足元の販売の弱さが続いて、3期連続の大幅マイナスも考えられる状況にあります。前述した様々な対応施策も全くと言っていいほど不要となります。

自動車メーカーから見れば、「再増税するのかしないのか、早くハッキリしてくれ」というのが本音ではないでしょうか。

消費再増税の行方を心配しているのは、自動車業界だけではないはずです。政府には、可能な限り早い時期に方向性を示して欲しいと思います。

【2016年4月6日 投信1編集部】

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投信1編集部

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