公募国内証券投資信託にかかる税金入門―換金・償還編

投信1編集部から投資信託初心者に伝えたい3つのポイント

  • 保有する投資信託を売却・換金し、その際に利益が出るケースは、その利益は譲渡所得として課税される。

  • 保有する投資信託を売却・換金して損失が出ると、譲渡所得はかからない。

  • 投資有価証券にかかわる損益通算や繰越控除、NISAを活用する手段も個人投資家には有効。

投資信託の初心者でも直面する投資信託にかかわる税金

投資信託を初めて購入して、いきなり税金の話をされてもピンとこないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。投資信託を購入したからには長期で保有したいものですが、相場環境や自分の都合により購入した投資信託を売却しなければならないこともあるでしょう。今回は、そうしたケースでどのような税金が関係していくかについて考えます。

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投資信託かかわる税金はどのような場合に発生するのでしょうか。簡単に言うと、投資信託を売却・換金したり、償還期限が来る際、利益が出ていれば、その利益に対して所得税・地方税がかかります。もちろん、投資信託を購入する際に発生する手数料には消費税が発生しますが、最近はノーロードと呼ばれる購入手数料がない投資信託も増えてきていますので、ここでは所得税や地方税に焦点を当てていきます。

最近ネット証券ではじめて投資信託を購入した相場晴子(アイバ・ハルコ)さんと大学の同級生で資産運用会社に勤めるファンドマネージャーの投信博士(トウシン・ヒロシ)さんも公募国内証券投資信託の譲渡所得に対する税金について話しています。聞き耳を立ててみましょう。

投資信託の換金と譲渡所得

相場:投資信託を購入したばかりの今はまだ知る必要がないかもしれないけど、投資信託を購入して含み益が出て、売却するとき税金はどうなるのかしら。

投信:最初に言葉の定義をしよう。投資信託を売却することを「換金」という。これは投資信託業界の慣行かな。

相場:なんだか堅苦しいわね。ところで、ネット証券の画面をみると「解約請求」と「買取請求」という言葉が並んでいるけれど、どう違うのかしら。

投信:その用語は証券会社や運用会社のための言葉だね。特に投資信託初心者の個人投資家は気にしなくていい。ここでは、「換金」で統一して話を進めていこうか。

相場:ところで、譲渡所得、つまり利益がいくら出たのか、いくら損になったのかを計算するのは相当面倒じゃないかしら。

投信:結論からいえば、面倒な計算は証券会社がしてくれる。購入した投資信託の個別元本と、換金時の譲渡単価(解約価額ともいう)との差をとって損益を計算する。

投資信託の換金時にかかわる税率

相場:あら、証券会社って親切なのね。それで、肝心の税率はどうなのかしら。

投信:換金して利益が出た時に限って、所得税と地方税あわせて20.315%がかかる。

相場:なるほど、投資信託の分配金と同じ税率ね。

投信:まあ、税金だからね。

同じ年に売却益が出ているものと売却損が出ているものを通算したい(損益通算)

相場:複数の投資信託を換金した際に、売却益が出る場合と売却損が出る場合があるわよね。そうした場合の扱いはどうなるのかしら。

投信:利益が確定した取引と、損失が確定した取引があったとき、利益と損失を通算して、通算して生じた利益部分にだけ税金がかかることになる。

相場:んー、具体的な例で説明してくれないかしら。

投信:投信Aで売却益が+1,000円、投信Bで売却損が▲500円だとすれば、これを通算すると売却益合計が+500円になるよね。税金はこの500円にかかることとなる。

相場:なるほどね。確定した利益と損失を合算して、益額が損失額よりも大きな場合に税金がかかるというわけね。でも、いろいろな投資信託を保有して、取引が複数回に及んでいると、しっかり自分の取引を把握できるか不安だわ。

投信:そうだよね。例えば、特定口座を証券会社に開設して、しかも源泉徴収するという選択をすると、その口座における取引に伴う利益と損失を通算し、そのネット利益に対する税金も源泉徴収になるんだ(つまり証券会社が代行して自動的に支払ってくれる)。

相場:特定口座で源泉徴収なしを選んだらどうなるのかしら。

投信:自分で確定申告して納税する必要がある。でも、その特定口座の損益を通算して確定申告に必要な書類は証券会社で作ってもらえる。一般口座だと、証券会社が都度作成してくれる取引報告書や年間取引報告書を自分でまとめて税務署に確定申告しなければならないから、それに比べると手間は少なくなるよね。

相場:複数の証券会社の口座全体で損益通算はできるのかしら。

投信:今日は随分と食い下がるね。さては、ネット証券の口座をいくつか持っているな。たしかに、投資信託の商品はネット証券ごとに異なるし、販売手数料も異なるからその気持ちはよく分かる。その場合はやはり自分で確定申告をしなければならない。ちなみに損益通算の対象範囲やそのやり方、これから話す損失の繰り延べについては制度が変わる可能性があるので、都度必ず税務署などで確認してね。

損を繰り延べて将来の利益と相殺したい

相場:今年の損を繰り延べて、来年益が出たらまずそれとネットにしてから税金を払うことは可能なのかしら。

投信:確定申告をしなければならないけれど、3年間は譲渡損の繰延が可能だ。だから、損が大きく出た場合は、ちょっと手間でも確定申告をしたほうがいいと思う。ぜひ譲渡範囲や控除範囲を最新の情報にアップデートして、正しい申告・納税をしたいね。NISA(ニーサ)という少額投資非課税制度の話はまた別の機会にでも。

まとめ

投信1編集部:投資信託の売却・換金時にかかる税金は投資信託初心者には理解しにくいですが、基本的には売却益が出る際に関係すると覚えておくと分かりやすいですね。また、売却にともない損失が発生する場合には、ほかの投資信託などの売却にともなう利益や他口座とのやりくりで税金がかかる金額を軽減することも可能です。ただし、税金については随時変更もあるので、お近くの税務署で相談するとよいでしょう。時期によっては、かなり手取り足取り親切に教えてくれますよ。

登場人物

相場晴子(アイバ・ハルコ)。国内の大手生命保険会社の本社で勤務するOL。40代後半。未婚。慶早大学・文学部卒。最近、少し貯金も貯まってきたのでオンライン証券で口座を開設(リンクを張る)して、初めて投資信託を購入。外貨建ての銀行預金を除くと初めての投資。購入したはじめての投資信託は日本株のアクティブ運用の投資信託。でも、実は自分でどういった金融商品に投資をしたいかは十分に理解していない。

投信博士(トウシン・ヒロシ)。相場晴子の大学時代の同級生。慶早大学・経済学部卒。現在は、資産運用会社に勤務。大学卒業後、企業を調査する証券アナリスト、シンクタンクに出向しエコノミストとしてマクロ分析を経験した後、現在は株式のファンドマネージャー。趣味は、スマホゲームと釣り、サッカー観戦。

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投信1編集部

投信1編集部は、証券アナリストやファンドマネージャーとして長年の調査経験を持つメンバーで構成されており、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデアをわかりやすくお届けします。