プラスチックなしにコンビニは成り立たない―身近なモノの化学講義(1)

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この記事の読みどころ

私たちは日常生活の中で、化学産業の大黒柱であるプラスチック(合成樹脂)を無意識に大量消費しています。

化学分野は難しい、名前を覚えるのが面倒、何に使われているのか分からない等、株式市場ではどちらかというと嫌われものの存在です。

しかし、コンビニだけを見ても、ありとあらゆる品物にプラスチックが使われています。極論するとプラスチックなしにコンビニのビジネスモデルは成り立たないかもしれません。

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コンビニで目にすることができるプラスチックの用途あれこれ

プラスチックは、どれも形状や触った感覚が似ているため、それほど多くの種類があるとは感じないものです。しかし実際は、用途に応じていろいろなプラスチックが使われています。以下、具体的な例を示しながらご説明しましょう。

筆者注:プラスチックは基本的にすべて粗製ガソリンからできています。この粗製ガソリンのことをナフサと言います。

トウシン君はまだ学生で、自炊をするほどマメではありません。お腹が減ったので、アパートから歩いて2分のコンビニに向かいます。

昨日飲み過ぎたので何となく麺類コーナーに足が向き、胃の調子を判断して和風うどんを手に取りました。容器は熱を伝えにくく軽い発泡プラスチック製です。このプラスチックはポリスチレン樹脂で、空気面積が90%を占めるために軽く、熱くならないのです。

でも、うどんだけでは足りないと感じ、ホイップクリーム入りのアンパンも買いました。このアンパンの包装紙は昔セロハンでしたが、今はポリプロピレン樹脂を延ばしたフィルムからできています。実は、自動車のバンパーもこのポリプロピレンでできています。

炭水化物ばかりではいけないと思ったトウシン君は、おかずに豚肉の生姜焼きも買いました。帰ったら、耐熱容器に移し替えてラップしてレンジで加熱するつもりです。このラップ、実は塩化ビニル樹脂(塩化ビニリデン樹脂)製で、プラスチックの中では耐熱性に優れるためにラップの王様と言われています。クレラップ、サランラップはとても馴染みがありますね。

「そういえば…」と、部屋が臭いことを思い出したトウシン君。先週はクラブの合宿があってアパートのゴミを捨て忘れたのでした。そこでゴミ袋も買いましたが、よく見ると「Made in Thai(タイ製)」。この素材は低密度ポリエチレンです。

そして、買い物袋に買ったものを入れてもらいコンビニを出ました。この買い物袋は高密度ポリエチレンでできています。最近、日本でも普及中のプラスチック製ガソリンタンクも、この高密度ポリエチレンを成型したものです。

以上、5つのプラスチックの名前を挙げましたが、これを「5大汎用プラスチック」と業界では呼んでいます。

プラスチックの需要は基本的に人口比例、1人当たり同消費量は先進国度を表す

2012年の統計(経済産業省)によると、5大汎用プラスチックの年間生産量は、中国が4,000万トン弱で世界第1位です。次いで米国が3,000万トン弱で第2位、西欧(EU)が2,630万トンで第3位。我が国は韓国に次ぐ第5位で700万トン弱です。

では消費量はというと、日本の1人当たりプラスチック消費量は米国、西欧(EU)に次いで世界第3位。年間75kgのプラスチックを消費しています(日本プラスチック工業連盟調べ)。1人当たりプラスチック消費量は経済成長とともに増大するため、極めて先進国的な産業だと言われます。

中国の人口は日本の10倍強ありますが、5大汎用プラスチックの1人当たり消費量はそこまでの差はありません。ということは、中国の需要はまだ成長期にあるということなのでしょうか。中国政府が目指す経済構造の変革、即ち設備投資から個人消費中心の経済転換を果たすことができるなら、プラスチックの需要は今後とも着実に伸びるかもしれません。

【2015年9月17日 石原 耕一

■参考記事■

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石原 耕一

早稲田大学法学部卒。ペンシルバニア大学ウォートン校AMP修了。
大学卒業後、和光証券(現 みずほ証券)に入社。その後、リーマンブラザーズ証券、UBS証券、みずほ証券等でアナリストとして40年以上株式市場で調査活動に従事。特に化学セクターでは20年以上の調査経験を持つ。