2015年10月1日(木)発表の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)は必読!

By Wiiii (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

この記事の読みどころ

10月1日(木)8:50発表予定の日銀短観は、国内外の市場関係者から注目されます。

大企業製造業業況判断は、株式市場・外国為替市場と相関性の高い経済指標です。

大企業全産業設備投資は、設備投資関連銘柄や機械関連銘柄の株価動向を左右します。

10月1日(木)8:50発表予定の日銀短観の動向に注目

今週、10月1日(木)8:50に発表予定の日銀短観は、国内外の市場関係者から注目され、外国人投資家にも「Tankan」として知られています。TOPIXや日経平均といった株価指数のみならず、外国為替市場にも多大な影響を与えてきたため、個人投資家のみなさんにも深く知っていただきたいと思います。

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マーケットインパクトの強い3項目を注視する

日銀短観の全ての項目に目を通すのがベストではありますが、時間が取れない方が多いのが現実だと思います。そうした方は、特にマーケットインパクトの強い3つの項目、「大企業製造業業況判断」・「大企業製造業先行き」・「大企業全産業設備投資(設備投資の年度計画)」に絞ってチェックしましょう。

過去の推移をおさらい

日銀短観の業況判断等の指標はDI(ディフュージョン・インデックス)で表記されます。DIとは、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したものです。

足元の動きを見る前に、過去の推移をおさらいしてみましょう。先程ご紹介した3つの経済指標は、「大企業製造業業況判断」・「大企業製造業先行き」・「大企業全産業設備投資(設備投資の年度計画)」ともに、2007年に顕在化した米サブプライムローン問題および2008年9月のリーマンショックを受け、大きく悪化。その後、いったん回復しましたが、2011年3月の東日本大震災の影響から再度落ち込みました。

しかし、米国経済を中心に緩やかに回復する中、2014年10月の日銀による量的・質的金融緩和を背景に、円安を支援材料として輸出企業の収益改善期待につながり、雇用・所得を含め、緩やかな回復傾向が続いています。

判断項目DI:業況判断(「良い」-「悪い」)
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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

年度計画:設備投資額(含む土地投資額)(前年比増減率)
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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

2015年7-9月期の日銀短観は市場予想との比較が重要

今回の2015年7-9月期日銀短観の市場予想は、以下のようになっています。

大企業製造業業況判断:市場予想13(前回15)

大企業製造業先行き:市場予想10(前回16)

大企業全産業設備投資:市場予想8.5%(前回9.3%、これは前年比で示されます)

市場予想を上回る場合、TOPIXや日経平均といった株価指数の上昇に寄与するでしょう。また、大企業全産業設備投資の数値が市場予想から大きく乖離する時は、国内の設備投資関連銘柄や機械関連銘柄の株価が、短期的に動意付くケースもあります。

【参考情報】日銀短観の基礎知識

そもそも、日銀短観とは?

日銀短観は、企業経営者の業況感や景況感、つまり、企業マインドを的確に把握し、日銀が金融政策を適切に運営するために行う統計調査です。日銀が4月、7月、10月の初旬、12月の中旬に発表しています。上場企業を対象とした主要企業短期経済観測調査と、中堅企業・中小企業を加えた全国企業短期経済観測調査から構成されています。

資本金2,000万円以上の法人約21万社の中から、約1万社を抽出してアンケート調査するもので、調査内容は企業の業況判断、製品需給、在庫、価格判断、売上・収益計画、設備投資計画、雇用、企業金融など広範囲に渡ります。

この「業況判断指数(DI)」は、景気が良いと回答した企業の比率から、悪いと回答した企業の比率を差し引いた数値となっており、企業経営者が重視する経済指標にもなっています。回答企業の足元の業況についての判断と、3か月先の予測が公表されます。

日銀短観の「設備投資の年度計画」を見る上での注意点

「設備投資の年度計画」は、必ずチェックしたい重要なデータです。また、短観の設備投資関連の統計をチェックする際、短観特有のクセに注意したいとろです。

具体的には、「年度計画の都度修正」の捉え方です。大企業では、その年の初回調査(3月調査)から12月調査までは、「計画未定の設備投資案件の実行が確定した」といった理由で上方修正されます。しかし、工事の遅れ等で次年度にずれ込んだ案件が発生するに従い、実績調査(翌年6月)にかけて下方修正されていきます。

一方、中小企業は、年度計画をそもそも策定していない企業が多数あると考えられ、設備投資案件が実施される毎に設備投資額に計上され、初回調査(3月調査)から実績調査(次年度12月)まで、右肩上がりで上方修正されていく傾向が強いです。

また、「設備投資の年度計画」の他に「生産・営業用設備の過不足感」についても調査が行われています。これは、過剰・適正・不足から回答を求めた上でDIとして算出しており、設備投資動向を予測する重要な判断材料になります。

なお、ここでの設備投資の定義は、土地の新規取得を含んだ有形固定資産への新規計上額(除去・償却前ベース)となります。さらに、ソフトウェア投資額も調査されます。GDPの民間設備投資は土地投資が含まれないので、この点に注意しましょう。ただし、短観では土地投資額を除くベースも集計しています。

法人企業統計調査との違い

企業を対象とした統計調査としては、法人企業統計調査というものもありますが、日銀短観とは主に以下の点で異なります。

① 短観の方が調査の母集団およびサンプル数が少ない

② 短観のサンプル企業は資本金2,000万円以上で、零細企業は含まれない

③ 短観は調査基準月の翌月に公表されるため、速報性がある

④ 短観は、企業の売上高・経常利益などの今後の計画についても調査している。したがって、景気の先行き見通しを予測する際、非常に有意なデータとなり得る

※元データの確認は、日本銀行のウェブサイトで日本銀行関連統計の「短観」をご参照ください。

【2015年9月28日 投信1編集部】

■参考記事■

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岡野 辰太郎

1976年生。大学在学中、マイクロソフトのインターンシップへ参加。
横浜国立大学大学院卒業後、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社の投資ストラテジストとして、リサーチ業務に従事。
同社退社後、Webサービスの開発・運営を行う株式会社アーブを設立。モノづくりのクラウドファンディング「SpotLight(スポットライト)」を運営中。