還元型コエンザイムQ10は高齢化時代サプリメントの成長株?

この記事の読みどころ

平均寿命が男女とも80歳を超えた現在*1、健康志向の勢いが止まりません。サプリメントの一大市場である米国のように、わが国でもサプリメント利用者数がさらに多くなりそうです。

皆さんもヒアルロン酸、コエンザイムQ10、コラーゲンなどのサプリメントを、広告やドラッグストアの店頭などで見かけたことがあると思います。筆者は中でも「還元型」コエンザイムQ10の将来性に着目しています。

そもそもコエンザイムQ10は、かつて心不全の治療薬として大手製薬メーカーによって事業化されましたが、現在では機能性食品分類として、健康食品や化粧品メーカーによる販売が活発になっています。

続きを読む

*1 参考:平成26年簡易生命表の概要(厚生労働省)

コエンザイムQ10の役割とは

コエンザイム(coenzyme)は補酵素と訳されるビタミン様物質で、食物コエンザイムQ10は主に肉類、魚類に含まれます。ビタミンは人間の体内では作られませんが、コエンザイムQ10は体内で生成されるため、若い頃は摂取はいらないものの、20歳代をピークに加齢とともに生成量が減少します。

コエンザイムQ10は、人間の細胞内で栄養素をエネルギーに変えるミトコンドリアに作用し、生命維持に必要なエネルギーを生み出すのを助けるほか、抗酸化作用があることでも知られています。

このため効能が美容領域にまで拡大し、化粧のノリが良くなった、皺が減ったといったイメージが先行することにもなりました。余談ですが、確か2004年頃に、あるテレビの番組でダイエットと絡めて特集され、既に事業化していた企業の利益が大きく増加したという記憶があります。

こうしてコエンザイムQ10市場へ参入する企業が増えました。国内ではカネカ(4118)、日清製粉グループ(2002)の日清ファルマ、協和発酵キリン(4151)グループの協和発酵バイオなどが事業化しています。また、三菱ガス化学(4182)や旭化成(3407)も過去に事業化したことがありますが、後に撤退しています。

一方、中国では汎用の酸化型コエンザイムQ10を手掛ける企業が多く、やや供給過剰の様相を呈しているようです。

還元型コエンザイムQ10が徐々に本命視される

コエンザイムQ10は心臓、肝臓、膵臓、腎臓、副腎などの細胞に多く含まれ、エネルギー生産を司る補酵素の役割を担っています。

しかし、20歳代をピークに、80歳ではピークの半分以下までしか体内で生成されなくなるため、心臓、肝臓などの重要な臓器の老化が一気に進むことになります。そのため、コエンザイムQ10が注目されているのです。

サプリメントとして一般的なコエンザイムQ10は酸化型と言われ、小腸で吸収され酸素が外れて還元型コエンザイムQ10として各臓器の細胞に取り込まれます。しかし、小腸での吸収率は低く、約60%は吸収されずに排出されてしまいます。

つまり、小腸で吸収され還元型コエンザイムQ10に転換される確率は極めて低いので、酸化型を飲んでも効果が感じられないという不満もあったかもしれません。

そこでカネカは世界で初めて還元型のコエンザイムQ10を開発、2006年にアメリカで、2007年には日本とヨーロッパでサプリメント素材として認められています*2。また、特許やノウハウの関係で、現時点でも還元型コエンザイムQ10を事業化しているのは同社だけだと推定されます。

*2 参考:KANEKA GROUP CSR Report 2011

還元型コエンザイムQ10の市場は意外な成長を見せるかもしれない

既に大手のサプリメント企業では、還元型コエンザイムQ10を主成分としたサプリメントを販売しています。また、小腸での吸収率を高める手段として酸化型コエンザイムQ10を水溶化した製品を日清ファルマが販売しています。

現時点では、還元型コエンザイムQ10が多くのサプリメント会社や化粧品会社から支持されていると見られます。今後、本格的な高齢化社会を迎えるわが国サプリメント市場の中で意外な成長を見せるかもしれません。

【2016年2月29日 石原 耕一】

■参考記事■

>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント

>>ネット証券会社徹底比較:株も投資信託も気になるあなたへ

石原 耕一

早稲田大学法学部卒。ペンシルバニア大学ウォートン校AMP修了。
大学卒業後、和光証券(現 みずほ証券)に入社。その後、リーマンブラザーズ証券、UBS証券、みずほ証券等でアナリストとして40年以上株式市場で調査活動に従事。特に化学セクターでは20年以上の調査経験を持つ。