エクイティクラウドファンディングの新たな可能性: イスラム金融

途上国・新興国への投融資で注目されるイスラム金融

先進国経済が軒並み停滞する中、途上国や新興国が投資先として注目を集めていることは言うまでもありません。とりわけフィンテック企業の登場によって従来より簡単に途上国への投資ができるようになったことで、先進国から途上国、新興国への資金の流れはいっそう加速することが予測されます。

さて、途上国、新興国の中でも人口の大きな割合を占めるのがムスリム(イスラム教徒)です。2050年には、世界のムスリム人口は27億6千万人を突破し、キリスト教人口に匹敵するようになると予測されていますが、その大部分は途上国や新興国に住んでいます。従って、ムスリムの資金需要は今後増え続けるものと予測されます。

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ただし、ムスリムへの投融資では気をつけなければならない点があります。日本では馴染みが薄いかもしれませんが、イスラム教はお金に関する特有の考え方を持っており、その考え方に則った金融商品(イスラム金融商品)しか購入しないムスリムも多くいるのです。

しかし、逆に言えば、イスラム金融についての知識を深めることで途上国、新興国市場への投融資の可能性がぐんと広がる可能性があります。ここでは、イスラム金融について簡単に紹介し、どのような投融資方法がムスリムの資金需要を満たせるかについて考察します。

そもそもイスラム金融とは?

イスラム金融の最も基本的な考え方は、「お金は価値の交換を媒介する手段であり、お金そのものに価値はない」というものです。この考え方から、「お金がお金を生む仕組みや、お金自体が増殖する仕組みは好ましくない」と考えられており、結果的に「お金を貸して利子をとることができない」という規則が生まれます。

注:当然、「手数料」や「サービス料」等の名目で実質的に利子をとっているサービスはありますし、ムスリムも全員が全員イスラム金融商品にしか手を出さない、というわけではありません。

それでは、ムスリムへの投融資で利益を上げることは不可能なのでしょうか?

そんなことはありません。上に説明したように、イスラム金融においては利子をとる行為、つまり資金提供者側がリスクを負わずにお金が増える仕組みである「融資」は禁止されていますが、資金提供者側も共にリスクを負って事業を展開する「投資」は禁止されていません。

つまり、デット(Debt=借入)による資金調達は禁止されていますが、エクイティ(Equity=株式)は社会を発展させる事業を展開するための正当な資金調達方法だと考えられている、ということです。

世界経済の牽引力になると目されるムスリムへの有力なファイナンス手法

ここで注目されるのがエクイティクラウドファンディングです。エクイティクラウドファンディングは上記に説明したようにイスラム金融に準ずると考えられるため、ムスリムが人口の多数を占める途上国、新興国において受け入れられる可能性が大いにあります。

途上国、新興国においては、資金需要はあるものの、金融インフラが整っていないために資本にアクセスできない人々が沢山います。そうしたの中の、少なからぬ人々がムスリムなのです。

彼らは、①金融インフラが整っていない、②イスラム金融商品へのアクセスがない、という二重のバリアに阻まれて、経済成長のチャンスを逃している可能性があります。この二重のバリアを一気に解決できる可能性を持つのがエクイティクラウドファンディングです。

もちろん、エクイティクラウドファンディングが受け入れられるためには越えなければならない壁も数多くあります。投資家がエクイティクラウドファンディングで購入した株式をどこで売買できるか、という未公開株の売買に関する規制等、考えなければならない課題は山積みでしょう。

しかし、今後、間違いなく世界経済の成長を引っ張る一員となるムスリムへのファイナンス手法として、エクイティクラウドファンディングは要注目でしょう。

出典:日本経済新聞CGAP

【2016年4月27日 クラウドクレジット】

■参考記事■

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クラウドクレジット

世界の資金需要者と個人投資家をつなぐ金融プラットフォームをつくるフィンテック企業として2013年1月に設立。
2014年6月から投資型クラウドファンディング・サービス「クラウドクレジット」を提供。当初はラテンアメリカのペルーに投資を行うファンドを提供し、2015年からはフィンランドやスペインをはじめとする欧州諸国の個人向けローンに投資を行う。
2016年はアジア、アフリカ諸国での投融資を開始し、2017年に五大陸で投融資を行うプラットフォームになる予定。