貿易収支は「家計簿」と似ている

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貿易収支は、家計簿と似ています。給料を「輸出」、消費を「輸入」と置き換えて考えてみましょう。

自分が働いて、他人に喜んでもらう、そしてその対価を「受け取る」のが輸出であり、家計簿でいえば収入です。一方、他人に働いてもらい、自分が喜ぶ、そしてその対価を「支払う」のが輸入であり家計簿でいえば支出だからです。

例えば、貧しい家計が美味しい料理を食べた結果として家計簿が赤字になったならば問題でしょうが、豊かな家計であれば、人生を楽しんでいるのですから問題ないでしょう。

高齢者家計が給料をもらえずに赤字になっても、生活費を現役時代に蓄えてあれば問題ないでしょう。

「日本国は、過去に巨額の貿易収支を稼いで貯めてあるので、老後資金が十分にある豊かな高齢者家計と似ている」と考えれば、今月の家計簿が赤字でも心配することはありませんね。

若者が失業して所得がなく、家計簿が赤字なのであれば問題ですし、輸出が増えずに景気が悪くて失業者が増えてしまえば問題ですが、失業者が増えていないのならば特に問題ないでしょう。

10年前までの日本は、輸出が増えないと景気が悪化して失業者が増える、という状況でしたが、最近の日本は少子高齢化による労働力不足なので、輸出が増えないと失業が増える、という状況ではありません。

その上で、正確には貿易収支に所得収支(利子、配当の収支)等を加えた経常収支が家計簿と本当に似ている、という事を理解しましょう。家計簿には利子や配当等々も記入されるので、その分も考えよう、というわけですね。

そして、実際には所得収支が巨額の黒字になっているので、経常収支は大幅な黒字を維持しており、「日本国の家計簿」自体も実は大幅な黒字だと知れば、さらに安心でしょう。