LIMOが2023年下半期にお届けした記事から、注目の記事をピックアップして再掲載します。

(初掲載*2023年9月29日)

2019年に金融庁が提出した、金融審査会市場ワーキング・グループ報告書による「老後2000万円問題」は、メディアなどでも取り上げられ話題となりました。

この報告書には、高齢者夫婦無職世帯の平均的な家計収支が記載されており、実収入が20万9198円に対し、実支出が26万3718円となっています。

昨今は収入を増やすために副業を始める方や、新たに投資を始める方が増えるなど、お金に関する不安が高まっています。

とりわけ年金については、どのぐらいもらえるのか気になってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

今回は、老後の実収入となる厚生年金「月額20万」を目安に、シニアの年金事情について確認していきましょう。

日本の公的年金制度「国民年金・厚生年金」の仕組み

年金受給額を見る前に、簡単に日本の公的年金制度の仕組みを確認しておきましょう。

日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」で構成される2階建て構造です。

それぞれの特徴は次のとおりです。

国民年金:1階部分

「国民年金」は、原則、日本に住む20歳~60歳未満のすべての人が加入対象となります。

保険料は全員一律で、年度ごとに見直しが行われます。40年間、すべての保険料を支払えば、老後に満額の国民年金が支給されます。

ただし、第2号被保険者に扶養される配偶者である第3号被保険者は、個人で保険料支払う必要はありません。

厚生年金:2階部分

「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬よって決定し、会社側と折半して負担します。

厚生年金保険への加入期間中は、国民年金の保険料は厚生年金制度により負担するため、個人で支払う必要はありません。

老後に受け取る年金額は、保険料と年金加入期間によって決定し、国民年金に上乗せして支給されます。

国民年金:2023年度の満額は「月額6万6250円」

本記事では厚生年金の実態に迫るのですが、年金制度のベースとなる国民年金にも触れておきましょう。

先述したとおり、国民年金は全員一律の保険料を支払い、40年間全ての保険料を支払った場合に満額を受給することができる仕組みです。

では、その満額とはどれくらいなのか?

2023年度の67歳以下新規裁定者の国民年金の満額は月額6万6250円です。

2023年度の67歳以下新規裁定者の年金額は前年度から2.2%の増額となりました。既裁定者は1.9%の増額です。

年金額は毎年度、物価や賃金の動向を見ながら見直しが行われます。

しかし、年金制度を維持するために、被保険者や平均寿命を睨みながら調整が行われるため、物価や賃金と同レベルの年金額引き上げとはいかない仕組みになっています。

では、この国民年金(基礎年金)に、現役時代の報酬や加入期間によって決定する報酬比例部分が上乗せされる厚生年金の場合、どのくらいの支給額になるのでしょうか。