いま注目のFinTech(フィンテック)は何を変えるのか―展望と関連銘柄

株式市場で注目を集めるFinTech(フィンテック)

現在、株式市場ではFinTech(フィンテック)が注目されています。まずFinTechとは何かを整理しましょう。FinTechとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、もともと英国ロンドンと米国シリコンバレーを中心に使われてきたバズワード(新しい専門用語)が一般に普及するようになったものです。

では、なぜ今、注目されるのでしょうか。それは、FinTech企業が既存の金融機関の事業領域を侵食し、彼らから事業を奪うだけではなく、技術をベースに金融業界に新しいサービスやアプリケーションを持ち込むことで、新たな事業機会を創出する可能性があるからです。

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つまり、場合によっては、その技術によってこれまでの金融業界の競争ルールが変わり、既存の銀行に取って代わる新たな金融事業者が現れるかもしれないのです。

海外では、アップルやグーグルといったICT(情報通信技術)企業が金融事業に取り組み始めています。また、アマゾンなどのEC事業者も事業上の商流をベースとしたトレードファイナンスを行うことも可能です。FinTechが普及することで、これまでの金融機関の役割が大きく変わる可能性があるわけです。

金融産業は、多くの方がご存知の通り、日本のみならず世界においても規制業種であり、これまでは監督官庁の許認可が必要なビジネスが多くありました。ところが、英国や米国、シンガポールといった国際金融都市を抱える国々が、技術を基盤としてその地位をさらに高めようとしているのが現在見られる変化です。

アナリストが注目するFinTechのポイント

日本は、こうした潮流に取り残されないように必死で食らいつこうとしているのが現状です。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)のように、自らFinTechベンチャー企業を見出すためのイベントを行っているメガバンクも登場しており、世界のFinTechの潮流に乗り遅れまいとする姿勢や危機意識は十分に高まっていると言えます。

FinTechといっても、まだバズワードの段階であり、厳密に領域が定義されているわけではありません。また、様々な領域をカバーしており、一言でこれだと言うこともできません。しかし、主要な領域をあげると以下のように整理することができます。

  • 仮想通貨を含む通貨などの取引を分散型で記帳する暗号技術(ブロックチェーン)
  • 資産運用のアドバイス(ロボアドバイザー)
  • ビッグデータやインターネットなどを活用した従来の金融機関を介さない投融資機能(ソーシャルレンディング)

FinTechの関連銘柄

さて、上記の領域を中心として関連銘柄を見ていきたいと思います。

ブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術とは、難しい説明を省略して一言で言えば、インターネット上の有志が多数参加することによって、通貨なら通貨に関し、暗号技術を用いてその所有者が誰であるかを認め合う、外部から情報の改ざんができない仕組みのことです。

現在は、貨幣であれば、金融機関それぞれがまずメインフレーム(コンピュータ)などでやり取りの情報を記録しており、その情報を金融機関および特定のネットワークにより確認し合っています。これには相応のコストがかかってきました。しかし、そうした取引情報をネットワーク上のブロックチェーン技術で担保させると、情報の記録コストが理論上劇的に安くなる可能性が見えてきたのです。

日本では、テックビューロ(未上場)がブロックチェーン環境「mijinクラウドチェーン」を提供しており、テックビューロと協業を発表しているインフォテリア(3853)やさくらインターネット(3778)が株式市場では注目されていますが、その収益への貢献度合いは、現時点では期待先行で未知数と言えます。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーは、米国で注目されているFinTechによるサービスの1つです。米国では資産運用する際にプロのファイナンシャル・アドバイザーをつけることがありますが、その役割をロボットにさせようというものです。

ただし、米国でも個人投資家がロボットの言うとおりに資産運用を行う状況にはすぐにはならず、ファイナンシャル・アドバイザーがロボアドバイザーを活用するケースもあり、現時点ではハイブリッド型の利用となっているようです。日本では、お金のデザイン(未上場)がロボアドバイザーによる資産運用アドバイスを始めています。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングは、これまでは金融機関が担っていた、審査および融資機能をインターネット上で行おうとするものです。つまり、インターネットにより資金の出し手と借り手をマッチングするだけでなく、借り手の審査をビッグデータなどを活用することで行おうとするものです。米国では、レンディングクラブ(LC)が上場しており、その時価総額は3,000億円を超えています。

日本でも融資を受けられない人は多いですが、これは既存金融機関の審査機能の限界によるところが大きいとされています。この審査機能の限界をビッグデータなどの活用により、適切な金利を適応することで事業領域を拡大するというものです。

【2016年2月22日 投信1編集部】

■参考記事■

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投信1編集部

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