東芝の構造改革は進展しているか? 楽観視できない3つの理由

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2017年3月期は黒字転換を見込む

2016年3月18に東芝(6502)は、「新生東芝アクションプラン」の進捗状況のアップデートと、今後の事業計画に関して説明会を開催しました。

今回の説明会で最も注目されたのは、2017年3月期の株主資本の見通しでした。会社側の発表資料では、株主資本は、2015年3月期実績の1兆840億円から、2016年3月期末には1,500億円に激減し、その後、2017年3月期末には6,860億円へ急回復するという見通しが示されました。

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この前提として、2017年3月期の純利益は400億円に黒字転換すること(2016年3月期会社予想は▲7,100億円の赤字)、医療機器事業である東芝メディカルの売却益は2017年3月期に計上されること、等が織り込まれています。

既に東芝メディカルはキヤノンへの売却が決定していますが、売却益が2016年3月期に計上可能か現時点では確定していないため、現時点では2017年3月期に計上される前提で予想を発表しています。

この結果、会社側では、ネットDEレシオは、2016年3月期末に967%から、2017年3月期末には112%に改善するとしています。まだ十分とは言えませんが、これが実現すれば、危機的な状況からは脱することになります。

ただし、この予想には、原子力事業ののれん(2016年3月期末残高見通し3,513億円)やランディス・ギア社(同1,563億円)の減損リスクは織り込まれていません。

会社側では、両事業とも2016年3月期Q4(1-3月期)に再度減損テストを実施中としており、今後新たに減損損失が発生する可能性が否定できません。そのため、この動向には引き続き注意が必要です。

スリム化は十分か?

東芝メディカルや家電事業の売却が進展したことにより、東芝の再建は一歩前進したことは確かですが、回復軌道に乗ったと楽観視するには、まだ、時期尚早と考えられます。

というのは、①稼ぎ頭の半導体メモリーが、スマホ市場の減速や市況悪化で採算性が低下していること、②「特設注意市場銘柄」からの指定解除で資本市場に復帰することが現時点では不透明であること、③事業売却により売上が縮小した割には人員規模が多い印象がある、などのためです。

特に気掛かりなのが3番目のポイントです。東芝の売上高は、2015年3月期実績は6兆6,559億円でしたが、今回発表された会社予想によると、2017年3月期には4兆4,900億円と5兆円割れに落ち込む見通しです。

一方、連結従業員数は、2015年3月期末の21.7万人から、2017年3月期末には18.3万人に減る見通しが示されています。

ただし、同規模の他の総合電機メーカーと比べると、総従業員数は売上の割にはまだ多い印象です。たとえば、三菱電機(6503)の場合、2015年3月期の売上高は4.3兆円(2015年3月期末連結従業員数12.9万人)、富士通も同4.7 兆円(同15.9万人)となっています。

事業ポートフォリオの違いから単純比較はできない面もありますが、リストラによって資産売却を進める一方で、コーポレート(本社)の削減が十分に行われているか精査が必要と考えられます。

【2016年3月20日 投信1編集部】

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投信1編集部

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